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「あれ?リリーどうしたの?」


ざわざわと賑やかな夕食時の大広間に一人遅れてきたリリーが気になった。


「どうってことないわ」
「そう?」
「えぇ、食事を続けて」


カタンと目の前の席に座るとリリーは軽くパンプキンジュースを口に含んだ。私はリリーのその言葉に甘えてパンをバケットから一つ取るとそれを二つに割った。そしてその内の一つを更に食べやすいように一口サイズに千切りながら口を開いた。


「まだシリウス達も来てないみたい」
「談話室に居たわ」
「会ったの?」
「えぇ」
「そう」


シリウス、と口にするだけでじんわりと胸が温まるような不思議な感覚を感じた。


「気にしなくてもあの人達ならすぐに来るわよ」
「そうだね」
「ほら」


リリーはローストビーフを取り分けながら入り口の方へ目配せした。それにつられて見ると、いつものメンバーだったが丁度シリウスだけが欠けていた。


「ねぇジェームズ」
「何だい?」
「あの…シリウスは?」
「あぁシリウス君か。奴は病気なんだ」


ジェームズの病気発言にずんと胃に重さを感じた。


「じゃあ寮に居るの?」
「そうさ。ベッドに伏せってるんだ」
「え…」
「気になるかい?」


お見舞いに行ってあげるといい。
ジェームズが言い終えるぐらいに、ポケットから折り畳まれたハンカチを取り出しまだ口を付けていないままのパンを包んだ。
他のことには目もくれずに私は大広間を後にした。


10.1.22
「ちょっとポッター大袈裟に言い過ぎよ!」
「いいや?だってシリウスのあれはどう見ても恋患いだろう?」
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