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「最近なまえとシリウス仲いいじゃない?」
「えっ?!そんなことないよ普通だよ」


授業が終了した後、シリウスと少し言葉を交わした。昨日のお礼にと。他意はないし、まさかそんなことを言われるなんて思ってもみなかった。


「そうそう、私最近なまえとシリウスが一緒にいるところよく見掛けるもの」
「たまたまだよ」
「でも昨日の夕食も一緒に後から来たじゃない」
「それは…」


そうよそうよと楽しそうにヒートアップする友人達にたじろぐ。本当に他意はなく、昨日は私の時計探しにシリウスが付き合ってくれたから必然的に夕食が遅くなってしまっただけだ。


「ねぇなまえとシリウスって付き合ってるの?」
「付き合ってないっ!よ…」
「ムキにならなくてもいいじゃない」
「ムキになってない」


はやし立てられるのがむず痒くて私はその場から逃げ出した。後ろからなまえと名前を呼ぶ声が複数聞こえたが構わず廊下を駆けた。少し顔が熱いがちょっと冬のひんやりとした空気が頬を掠めて気持ちがいい。


「なまえじゃない、あなたも何か探し物?」
「リリー…」


何時の間にか私の足はよく通う図書館に向かっていて、ちょうど棚から本を取り腕に抱えたリリーと鉢合わせた。


「どうしたの?そんなに息を切らして」
「違うの、ちょっと…ね」
「あら、私には教えてくれないの?」


リリーは小悪魔っぽく言うと、自身の隣の椅子を引いた。この席にどうぞ、とそういう意味なのだろう。私はその椅子に腰掛けるとゆっくり、そしてリリーにだけ聞こえるぐらいのボリュームで気持ちを吐き出した。
終始ニコニコしてるリリーを不思議に思いながらも私の話は止まらない。



09.12.14
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