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通常授業が始まった。
授業になかなか付いていけなくて慌て始める者もちらほら。
自慢ではないが俺は幼少からの英才教育で、勉強で困ることは特になかった。


「驚いたなシリウスって頭いいんだね」
「一言余計だっつーの」


あれから色んな授業に参加しているが未だになまえには出会わない。
そもそもグリフィンドールの新入生歓迎パーティーは新入生はみんな参加したというのに、なまえはいなかった。
まさかスリザリン、いやない。ならレイブンクロー、ハッフルパフ…なまえはグリフィンドールでないならハッフルパフっぽいななどと考えながらジェームズ達と歩いている時、ふと中庭に目がいった。

中庭には誰も居ない。たださわさわと噴水から絶え間なく水が流れるだけの静かな空間。何の変哲もない。
ただ、その向こうに見える渡り廊下に断言は出来ないが似た容姿の人物が通っているように見えた。


「それでさ、その時ピーターったら…」
「わりぃ、ジェームズ先行っててくれ!」
「え?ちょっシリウス?」


返事も聞かずに強引にカバンを押し付けて俺は走った。
入学早々遅刻かー、なんてからかう声が聞こえたような気がした。

しかし悔しいかな、ホグワーツは広くて丁度反対側の渡り廊下についた頃に人影はなかった。
時計を見ると始業時間が近付いていた。


「当たり前、か」


今こんなところに居る奴は、迷子か遅刻になりかけている奴ぐらいだ。
ちなみに俺はその後者に該当する。
そして俺はまた走った。


「ギリギリだね」
「あ、あぁ悪かったなジェームズ」
「それで?ラピスラズリの君はいたの?」
「いいや」


席に着くのと同時に変身術を担当していて、尚且つグリフィンドールの寮監マクゴナガルが入ってきた。
変身術も基礎中の基礎、教科書をパラパラ捲りつつも先程の出来事を考える。


「おい、ピーターそこじゃねぇ今はここだ」
「あ、ありがとう」


隣に座るピーターの教科書をコツンと杖で差す。
教室を見回すとほとんどの生徒が教科書に書かれた文字を懸命に追いかけていた。
まだ実技にすら移れないでいる。教科書は入学までに家で何回も何回も読まされた。
もう空で言えると言っても過言ではないだろう。

今日の変身術はレイブンクローとの合同授業。そう、レイブンクローの一年も一緒……。
そこまで思案した時にふと提案が頭を過ぎり、俺は終業のチャイムと同時に行動に移した。
レイブンクロー生を中心に、なまえみょうじという生徒を知らないか?、と。
返ってくるのは怪訝な視線とNOの一言。


「難航しているようだねシリウスくん」
「うるせー」
「今日はもう授業は終わりなんだし、夕食の大広間で探してみたらどうだい?」


ほとんどの生徒がいるだろうしね。
そう言い残しジェームズはリーマスを引き連れて宿題に必要な本を探しに図書館に行った。
ピーターは悲しいかなマクゴナガルの呼び出しを食らっていた。

取り残された俺は大人しく寮に戻ることにした。
下手に1人で歩き回ってまだ詳しく知らないホグワーツ校内で迷子になるのは得策ではない。


そして俺は合言葉を交わし、見慣れたグリフィンドール寮の肖像画をくぐった。



09.09.19
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