▼2話 就職しよう
「で?あんたらハローワークで何してきたの??」
居酒屋のテーブルを六つ子+私で囲む。
「やっぱり仕事のあとのビールは最高だなぁ」 「いや一個もしてねぇから全員追い返されてるから!!」 「ほんとほんと、仕事っていうか就活じゃん!」
ぷはーとビールをカッくらうおそ松にそれを咎めるチョロ松と私。本当にこの六つ子は能天気でお気楽だ。トド松に至ってはナンパした職員に思いを馳せている。
「てかさー、別に就職なんかしなくてよくなーい?めんどくさいよ」
トド松の一声にみんな、うんうんと頷く。私の幼なじみはクズばっかで困る。せっかくの仕事の休みに呼ばれたと思ったら、こんなしけた松野家の飲み会とは…。 唯一チョロ松は常識人のようで、就職に意欲的なようだ。
「なぁ、お前はどう思う?」 「私?そりゃ皆には仕事に就いて欲しいって思うよ?いーーーっつも私の奢りじゃ困る」
なるほどな、なんて誰かが呟いた。途端一松が帰る、と立ち上がった。一番就職から程遠そうな一松に皆が反応する。長兄のおそ松は、一松のことが一番心配だと手で顔を覆った。ふざけ半分で。それにトド松、十四松と続く。一松をバカにするほかの奴らと違って、フォローを入れようとするカラ松には何故か一松が食ってかかる始末。はぁ、と大きな溜息が出る。
「どうすんのおそ松兄さん!このままじゃあオレ達一生無職だよ?!」
チョロ松の憂う声におそ松は意を決したようにガンと飲み干したビールのジョッキをテーブルに叩きつけた。こういう時長男は頼りになるんだよね、と私は淡い期待を含ませておそ松の言葉を待った。
「…よしっ!決めた!!日本酒いっちゃおー!!!」 「っはあ??!」
私の声より先にチョロ松の堪忍袋の切れる音がした。
「つーかさぁ、もうお前ンとこに永久就職させてよ 」
6人も無理だし!!と言い残し私はこの場から退散した。
------------ 6人もってことは、そうじゃなかったら永久就職させてくれんのかな?
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