星空煌めくロマンチックなシチュエーション。それを用意したのは目の前のレギュラス。その癖レギュラスの顔は強張っていた。
「どうしたの?話したいなんてわざわざ手紙で」
「変ですか?」
「そんなことないけど」
一羽の梟が運んで来た手紙に導かれて来た天文台は、雪がちらついていたけれど空には満天の星空が広がっていた。
そして佇むレギュラスのコートにはうっすらと雪が積もっていた。大分前からここで待っていたのだと分かる。
「兄が…いえ、あの人の名前が家系図から消えました」
「そう…」
ずんっと重たい話題と寒さから顔を俯かせた。
ブラック家と親好の深いみょうじ家としては、いずれ分かる話。だけれども今日この場で聞かされるとは思ってもみなかった。
ひゅっと緑色のネクタイが棚引いた。
「母が嘆き悲しむ姿を見ました」
「うん」
「そしたら言い出せなくなってしまった」
「何を?」
僕はあなたと一緒にいたいと考えています、と。
ぽつんと言ったレギュラスの言葉に俯いていた顔を上げた。
「あなたがいてくれればそれだけでいいです」
「な、何言って…」
「事実ですよ、びっくりしました?」
くすりと笑うレギュラスにときめきとは程遠い感情が芽生えた。
10.1.12
(10.1.15up)