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ばっかじゃないの?信じられない。それでも狡猾なスリザリンなの?あなたってばかばか、あー阿呆らしい。
散々罵倒したというのに目の前の彼はねっとりした髪を垂らしたまま俯いていた。


「ちょっと聞いてるの?!セブルス」
「聞いてる」
「なら何か言いなさいよ」


ポッターやブラックには噛みつく癖に、なんで何も言わないのよ。ばかばかばか。


「あなたなんてスリザリンの風上にも置けないわ」
「……」
「エヴァンズなんかの何がいいの?マグルだし、ただの目立ちたがりじゃな…」


パシッと乾いた音を聞いた時には、既に彼の左手は私の右手首を捕らえられていた。


「それ以上言うな」
「な、によ」


捕まれたまま、ねっとりとした髪の隙間から見えた瞳にぞくりとした。ぎりっと力が込められたセブルスの手。
なによ、なんで報われないのに想い続けるの?訳分からない。ここに、あなたに想いを寄せてる人がいるというのに。私が入る隙なんてまるでないじゃない。


「痛い」
「…すまない」


途端離された手首、私は手首をさすって立ち上がった。


「ほんと、セブルスあなたってばかだわ」
「なまえっ」


そのばかを想う私は大ばか。
結局それからセブルスと話す機会は極端に減った。でも彼の姿はよく目についた。彼はよくエヴァンズを見ていた。それがポッターの癇に障るというのに。

ホグワーツを卒業した後、不死鳥の騎士団として彼に再会した時彼は闇の道に落ちていた。ねっとりとした髪は更にねっとりとし、鬱陶しさは増していた。


「久しぶりね」
「ああ卒業以来だ」
「風の噂でポッターとエヴァンズが結婚したって聞いたわ」
「そうだ」


セブルスはそれ以外何も言わずに俯いた。あの日のことがフラッシュバックする。


「あなたはそれでもまだエヴァンズを?」
「あぁ」
「…そう」
「子供も出来たらしい」


そんなの報われる訳ないじゃない。完全に。どうしてそこまで一途に思い続けられるの?何があなたをそうさせるの?


「そういうなまえも結婚するそうじゃないか」
「えぇ、お陰様で」
「おめでとう」「…あり、がとう」


壊れてしまいそうなぐらい儚げな笑みを見せたセブルスに戸惑った。もう私を惑わせないでお願いだから。あの気持ちはもう捨て去った。
さようならあの時の私。
さようなら、愚かなセブルススネイプ。



09.11.08
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