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ドラコのプラチナブロンドはスリザリンの薄暗い談話室では少し淀んで見えた。それでも私には煌めいていて眩しいように思えた。そしてプラチナブロンドに手を伸ばした。
しかしそれは渇いた音でシャットアウトされる。


「気安く触るな」
「何でそんなこと言うの?」
「五月蝿い」
「私のこと嫌いなの?」
「五月蝿いと言っているだろうっ!」


叩かれた手が少しヒリヒリした。五月蝿いと言われても私の口は止まらない。納得も出来るはずがない。


「私のこと嫌いになったの?」
「五月蝿いっ!」
「キスだってしたのに」
「黙れっ!」


さっとドラコの頬に赤みが走った。カップルだったあの日はまるで私の夢物語と言わんばかりにドラコは突き放す。信じたくはない。


「私何かいけないことした?」
「五月蝿い」
「ねぇ!何とか言ってよ」
「僕に気安く話し掛けるな!」


ドラコはピシャリと一段と強く言った。そこで私は今の今まで確信が持てず、否真実を聞きたくないがために言わなかったことをぽつりと切り出した。


「…死食い人になったっていうのは本当なの?」


一緒ドラコの目が見開かれたのを私は見逃さない。ドラコが死食い人ではないか、例のあの人と通じてるのではないか、それは今スリザリン内で陰で囁かれている噂だった。


「やっぱり本当だったんだ」
「…っ五月蝿い!」
「だから私を突き放すの?」
「…なまえ…頼むからもう僕に構わないでくれ」


悲痛な表情でドラコは呟くとポケットから銀時計を取り出して、時間を確認すると談話室から居なくなった。
それきり私とドラコが言葉を交わすことは二度となかった。



09.10.16
(09.10.17up)
ねえ、その懐中時計私があげたやつだよね?
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