main | ナノ





「ミスターマルフォイ、スネイプ教授が貴方を呼んでいるわ」


彼女は鼻につくような言い方で僕に言った。そして僕も同じように返すのだ。


「ありがとうミスみょうじ」


僕となまえは恋人同士だ。しかし僕達は現在喧嘩している。きっかけは僕もいまいち分からない。だがきっと些細な事だ。一方的になまえが怒っている。如何にもツンケンした態度で接してくるから、僕自身も引くに引けず今に至る。


「スネイプの部屋に行けばいいのか?」
「そうよ、ミスターマルフォイはスネイプ教授の部屋へ行けばいいの」
「…いつまでこうしているつもりだ?」
「貴方次第ね!」


ぷいっとなまえは顔を背けると女子寮の方へ行ってしまった。僕はそのまま談話室を出てスネイプの元へ向かった。
なまえに何かした覚えはない。


「なまえあなたまだ怒ってるの?」
「だって!」
「そりゃ告白だってされるわよ」


スネイプの用事も早々に談話室に戻ってくれば、なまえとパーキンソンの声が聞こえた。パーキンソンの声は甲高く全てが丸分かりだった。告白がなんとかと。


「あ、ドラコ」
「え!」


パーキンソンが僕に気付き声をあげた。そしてなまえも僕の姿を確認する。


「はっきり本人に言いなさいよ、じゃないと何時まで経っても何も解決しないわ」
「ちょっとパンジー」


パーキンソンはそうなまえに助言し女子寮に消えた。


「ここ、座っていいか?」
「えぇ」


なまえの隣に許可を得てから腰掛ける。


「何だか告白がどうとか聞こえたが、この間僕がレイブンクロー生から告白されたのと関係があるのか?」
「立ち聞きなんて最低ねミスターマルフォイ」
「それいい加減にやめないか?僕に非があるなら改める」


言ってくれないか?そうなまえに問い掛けると、なまえは黙ってしまい俯いたままだった。そして少しの時間が経った後ポツリポツリ話し出した。


「ドラコが告白されたの、私見てたの」
「え」
「丁度図書館に行こうとしてたらドラコが見えて、それで」
「あぁ、うん…続けて」


なまえはゆっくりゆっくりと言葉を紡ぎ出す。少し焦れったいが急かさずに耳を傾ける。


「ドラコ彼女に何て言ったか覚えてる?」
「確か…悪いが今は付き合えない、だったかな」
「今はって何!?」


突然大声を上げるものだから驚いて不覚にも肩が跳ねた。


「今は?じゃあ何時になったら貴方は彼女とお付き合いするの?私と付き合う期限はいつまでなのよ?何よその思わせぶりな振り方!彼女いつかは付き合えるかもって思い続けるわきっと!信じらんない!」


マシンガントーク、正にそれ。


「なまえ、なまえ、落ち着け」
「これが落ち着いていられる?」
「悪かった、僕が悪かったから」
「ドラコ?」


なまえの肩を掴んで制した。


「改める、改めるから機嫌を直してくれないか?」
「う…」
「キミとは付き合えないとはっきり断る」
「うん」
「僕にはなまえみょうじという彼女がいるから付き合えないと」
「うん」
「ごめん」


そう小さくなまえの耳元に呟き静かに唇を重ねた。



09.09.28
(09.10.02up)
とりあえずあのレイブンクローの子のとこに言ってきて。
- ナノ -