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「英国紳士ですから」


そう言って白い歯を見せたシリウスは私のキラキラ輝く思い出の1つ。


「何英国紳士って」
「俺みたいなヤツのことだよ」
「何それ」


笑いあった日々は遠い思い出。

きっかけはまだホグワーツに来て日が浅い頃、慣れない英語や慣れない寮生活恋しい日本、全てがいっぱいいっぱいで潰れてしまいそうで私は確か中庭でこっそりと泣いていたんだ。そんな時現れたのがシリウスだった。


「泣いてんの?」
「…」
「何?わかんねぇ、とりあえず涙拭けほら」


シリウスは少しくしゃっとなったハンカチを渡してくれた。


「ありがとう」
「英国紳士ですから」


笑った時のシリウス。ちらりと見える白い歯が光っていて、ハンサムな顔立ちが際立って見えた。


「お前どこのヤツ?」
「日本」
「日本?あのアジアの小さな島国?」
「イギリスに言われたくない」
「言うじゃん」


またシリウスは笑った。
それからだ、段々シリウスとの距離が短くなったのは。拙い英語、それを克服する為に手伝ってくれたのはシリウス。日本と違うイギリスのマナーを教えてくれたのもシリウス。
なのに、なのに、なのに、なのに、なんで?
その子誰なのシリウス。


「俺あいつと付き合うことになったんだ」


シリウスは談話室の端を指差した。そこに友人と楽しそう話す綺麗な栗色の髪の女の子は、同じグリフィンドールでもかわいいと評判の子。シリウスとお似合いだ。でもまさかシリウス自身からその様なことを聞かされるとは思ってもみなかった。


「そう」
「あぁ、かわいいだろ」
「そうだね、大事にしなよ」


ジェームズとリリーの時は素直に祝福出来たのに、今の私は汚い嫉妬心でいっぱいだった。
入学した時からずっと一緒だったのに、なのに、なんで?なんで私じゃ駄目なの?汚い私。


「ねぇ、シリウス」
「ん?」
「いや、何でもないや」


シリウス知ってる?
All's fair in love and war.
(恋と戦争は手段を選ばず)



09.09.28
こわいおんな。
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