水曜日のネコ5.5
ねぇ、おそ松兄さん!一松兄さんが送り狼になっちゃったらどうすんのさー!そうトド松は抗議した。
段々小さくなる2人の背中を見送って、自らの帰り道に歩を進めた。チョロ松をおぶったカラ松は少し先を歩いている。
「トド松さァ、あいつがそんな度胸あるように見える?」
「…見えない」
「だろ?そんな度胸あったら俺ら今頃童貞じゃねぇよ」
とか言いながら勢いあまってやっちゃいけないことやっちゃいそう!と十四松は爆弾を投下してから前を行くカラ松を追いかけた。その発言に、闇松兄さんなら分からないとトド松は冷や汗を流した。
「やっぱり僕も一緒にっ…ぐ、げ!」
「大丈夫だって、野暮なことはよそうぜ」
トド松のパーカーのフードを握れば、トド松は車に轢かれた蛙のような声を出した。俺ら兄弟に共通して言えることは、女の子に対してここぞという時に度胸も勇気も発揮出来ないことだった。だからこの年まで万年童貞なんだろうなぁと悲しくなった。このトド松でさえ、結局は友達止まりなのだ。
「帰ったら大丈夫だったかラインしよーっと」
トド松は独り言のように呟いたかと思うと、前のカラ松達に向かって走り出した。
「ちょっとトド松!お兄ちゃんを一人にするなよなァ!!」
そして、俺も走って数十m先を歩く弟達を追いかけた。
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