大丈夫


達海と椿

練習を終えて、各々解散して、俺は部屋に戻って、対戦相手の資料を見て、シャワーを浴びて綺麗さっぱりになった椿を待つ。早く来ないかなぁ、あいつ。
コン、コン
ちょっとぎこちない感じのノックが聞こえた後に「か、監督失礼します。」と緊張した椿の声。
「んー、どうぞ御入んなさい。」
「ッス。」
「ま、ベッドに座ってて。もうちょっとで見終わるからさ。」
そう言うと椿は「ッス。」と言ってちょこんとベッドに座った。俺と椿が付き合ってから結構経つのにあいつはまだ初々しさがある。そろそろ馴れてもいいと思うんだけどねぇ。その椿君はというとベッドに礼儀正しく座っている、というか固まっている。
「んしっ、と、終わったよ椿君。」
「あ、うっす。」
資料を見終えて椿の横に座る。そいや今日チラッと思ったこと。
「椿って花びらから枯れるんじゃなくてもう花ごとボトって落ちるんだってさ。」
「そう、なんすか?」
「うん。で、それがまるで人の首が落ちるように昔の人は見えたみたいよ。」
「そうなんです、か…。」
「お前は、」
違うよな。そう言って椿に抱きついた。
「なな何が、すか?」
「花の椿みたいに首が落ちることがないよな?」
「そんなこと、ないっすよ。監督ドラマの観すぎじゃないすか?」
急に俺を力強く抱き締めてきた椿は俺の耳元で大丈夫っすよと囁いている。

うん。大丈夫だよ、な。首が落ちることなんてない。まずありえないし。それに、若いうちに怪我してサッカー辞めるなんてことも、多分、ない。

「心配だなあ。」
まだ耳元で大丈夫と囁く椿に意地悪そうに呟くと前よりも強く抱き締められてはっきりした声で「大丈夫です。」って言われた。
その後も椿はずっと赤ん坊を寝かしつけるように大丈夫大丈夫と子守唄を歌うように囁いてた。
椿っていうベッドと大丈夫という子守唄に温かい椿の腕に包まれて俺は赤ん坊のように眠った。




これじゃあベッドっていうかお母さんですね椿君
タツバキタツかなこれ
椿が自分と同じ目にならないか心配になった達海でした

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