幸せの翌日


「え!?ほんまに!?おめでとうさん!」


翌日早速ルミに昨日のことを報告した。
私からの報告を聞いてルミは自分のことのように喜んでくれた。


「で、どうやったん?初めてのチューは」

ミルクティーを飲みながらにやにやした顔で聞いてくる。
絶対に聞かれると思った…。





『…よく覚えてない』

「は!?え、ちょっと、は!?」

私の答えに有り得ないというような顔で立ち上がる勢いで「なんやて!?」と叫ぶルミ。
身を乗り出して私を見つめてくるものだからとりあえず落ち着いてもらう。


『だ、だって…すっごい緊張してそれどころじゃなくて…』

「まあ気持ちはわかるけど…あかんやろ!初ちゅーなんやで!?」

『それに、頭真っ白になったというか…』


そう言えばさっきとは打って変わって急にまたにやにやし始めた。

ほんとなんなんだろう…。



「ほおー…そういうこと」

『どういうこと?』

「ふふ…まあ、白石さんめっちゃ上手そうやもんな」

『なにが?』

「名前、初めてが白石さんってほんま色んな意味で贅沢やな」

『う、うん…?』

「まあ時期にわかるやろ。今は気にせんとき」


そんな言い方されたら余計気になる…。

でも、時期にわかるんだったらまあいっか。


「ほんで昨日結局白石さん泊めたん?」

『ううん、私は泊まってくださいって言ったんだけどなんか今日はほんま歯止め効きそうにないからって』

あんな夜遅くに帰したのはやっぱり悪かったような気がする。

だけど白石さんが帰るって言ってたから無理矢理泊めるのもおかしいもんね。


「さすが白石さんやん。紳士やわ〜」

『紳士?』



聞き返せばまたその内あんたもわかると言われて結局はっきりした答えは返してもらえなかった。
だいぶもやもやが残ったものの何度聞き返しても話そうとしないルミに折れ時間がかかっても自分で答えを見つけだそうと心の中で強く思った。

食べかけていたお弁当の春巻きを口の中に入れる。


「え、それなんなん春巻き?」

『うん』

「めっちゃ美味しそう」

『だけどこれ、冷凍食品だよ?』

「ええーそんなんあったんかあ。一口ちょうだいっ」

『いいよ。はい』


あーん、と友達同士だから恥ずかし気もなく箸で挟んだ春巻きをルミの口に入れる。
ぱくりと一口食べれば「美味しい!」と喜んでくれ別に作ってもいないのに嬉しくなった。




「あ、ええこと考えた」

『なに?』

「白石さんに今度手料理作ったりよ」

『え、なんで急に?』

「思いついたんやから急に決まっとるやん」

ああ、たしかに。

『でも、手料理作って上げられるほど腕に自信ないしなあ…』

「練習に練習を積み重ねて更に練習を積み重ねたらそんな心配無用やで!」

『…うん、そうだね』


そりゃそれだけ練習積み重ねたら誰でも自信がつくだろうね。
手料理かあ。
白石さんに…手料理。
緊張するだろうな…。


でも大好きな人から“おいしい”って言ってもらえたらすごく嬉しいんだろうな。
ちょっとこれから料理練習しよう。
自信がついたらいつか白石さんに食べてもらいたいな。


頭の隅の方に手料理というワードを書いておいた。

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