外では葉が散っていき木の枝が丸裸になっているそんな時期。 もう部活生以外はとっくの昔に帰っとる。 私は一人教室で静かに空を見ながら彼を待つ。 「堪忍!遅なってもうた」 ガラガラと大きな音をたててドアを開けた謙也くん。 相当急いで来てくれたのか額や首に汗を掻いてて部活のジャージ姿だった。 『ううん、ええよ。帰ろ?』 そういえば私の大好きな笑顔で首を縦に振り横に並んで学校を出る。 謙也くんと付き合いだしてもう8カ月。 告白はまさかの謙也くんからやった。 私は1年生ん時からずっと謙也くんが好きでいつも陰から部活姿とか見とった。 学校で白石くんと同じくらい騒がれるそんな雲の上の存在の謙也くんが私のことなんか知っとるはずない。 せやから告白とかしたって結果なんか見えとる、そう思うとったから告白さえもできんかった。 忘れもしない1年生が終わるとき突然ちがうクラスの謙也くんに放課後呼び出された。 恥ずかしそうに頬を染めて「俺…苗字さんのこと好きやねん。えっと…つ、…つ、きおうてくれません、か…?」と噛み噛みの告白。 嬉しくて嬉しくて信じられなくてついその場で泣いてしまった。 突然私が泣きだしたことで謙也くんはすごく驚いて「え、ええ!?どないしたん!?」とすぐに駆け寄ってくれた。 私も涙声でもちろん肯定の返事をした。 それから今は既に8カ月が経ちもうそろそろ9カ月に入ろうとしている。 それなのに未だに手を繋いだこともなければもちろんキスなんて夢のまた夢。 謙也くんはそういうのするん嫌やったりするんかな、とか思うとなかなか言い出せない。 でも私は謙也くんが好きやから手も繋ぎたいしキスもしたい。 まだ初体験も済ませとらんけどそれは謙也くんとがええもん。 帰り道、部活の話を楽しそうに話している謙也くんを見るとやっぱり言い辛い。 せやけどこのまま私が言わんかったら何も状態は変わらん。 これからもずっとこの延長。 そんなん嫌や。 歩くのをやめた私にすぐに振り返り「どないしたん?」と少し前にいる謙也くんが尋ねてくる。 『私…謙也くんと……その、…もっと色んなことしたい』 「名前…?」 『今まで言い出せへんかったんやけどもう言わせてください。私は謙也くんのことめっちゃ好きやからいつもとは言わんけど、デートの時とかは手え繋ぎたい。ちゅーもしたい。その先も謙也くんなら…ううん。…謙也くんとしたい』 恥ずかしい。 こんな道端で。 少し先にいる謙也くんの顔が見れん。 俯かせたまま顔を上げることができん。 少しすれば足音が近づいて来て私よりずっと大きい影が私を覆う。 「名前」 名前を呼ばれたことから顔を上げると、すぐに謙也くんの綺麗だけど骨張っとる長い指で顎を掬われ同じ目線になったか思えばそのままぐいっと引っ張られた。 唇に感じる感触。 驚きのあまり目を開きっぱなしで唇が離れた後謙也くんを見つめる。 「…俺かてずっと我慢しとった。でも、名前のことが好きすぎて触れてもうたら壊してしまそうで怖かったんや」 私の方に顔を埋め籠る声でそう告げた。 夕暮れの太陽が眩しいくらい謙也くんの金髪を更にきらきら光らせる。 「キスしてもうたら自分で歯止めできそうになかったんや」 言葉を言い終わると同時に私と目を合わせる。 「…なあ、名前の初めてもらってもええ?」 『私の初めては、謙也くんにあげたい言うたやん…』 それから今日は家に親がおらんらしいから謙也くんの家に上がらせてもらいすぐに部屋に着けばベッドに押し倒された。 優しく服を脱がせられ身体中に優しいキスが降ってくる。 なにもかもが初めてで、慣れない感覚に声が抑えられん。 聞いたこともないような自分の高い声が恥ずかしくて嫌で謙也くんに聞かれたくなかった。 謙也くんは「ずっと名前のその声聞きたかってん」と恥ずかしそうに笑った。 その表情がいつも以上に愛しく思えたのは何も隠されていないありのままの姿を彼に晒しているからだろうか。 謙也くんはさっきとは全く違う深いキスをしてきた。 舌が入ってきてどうすればいいかわからず戸惑う私を見て、薄目を開けた謙也くんがクスッと笑った顔がすごく色っぽくて身体の芯が疼いたのを感じた。 唇が離れると来ていたジャージを上半身だけ脱げば綺麗に鍛え上がられた身体が露わになった。 初めては友達から痛いと聞いとったけどほんまに痛かった。 せやけど、謙也くんとやと思えば不思議とその痛みすら愛しく思えた。 『ん、んっぁ…!け、んやく…っやあぁあ』 「…っはあ、その顔たまらんわ…」 『謙也くん…はげし…っ…そん、なしたら…ああっぁん!』 全身に電柱が走りビクビクと身体が跳ねる。 謙也くんは私の前髪を掻き上げると額にキスを落とし生理的に出ていた涙を舌で掬った。 「愛しとる…誰よりも」 『わた、しも…謙也くんっぁ…愛し、とる…もん!』 「可愛えわ、ほんま…」 再び律動し出した腰に先程イったばかりの身体は敏感に感じる。 私はひたすら感じるばっかりで喘ぐことしかできん。 律動し続けながらも唇を重ね本能のまま舌を絡め合わせる。 普段見たことがないくらい色っぽい謙也くんに鼓動が速くなる。 なにもかもが愛し過ぎてその気持ちは涙に変わって頬を伝う。 『謙也く、…イく、イく…っやあああ、らっめぇえ…!』 「っ…く…ごっつ気持ち良うイかしたる…」 突き続けながらクリトリスを潰され眼の前が真っ白になった。 意識を手放す直前に重ね合わされた大きな手が愛しくて指を絡ませれば、唇にキスが落とされた。 愛しさは涙へと
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