殴り書き


授業が終わり休憩時間になると怜ちゃんが歩いてわたしの席にやって来た。

「あんな名前、謙也が昨日突然言い出したんやけど今度4人で遊ばへんかって」

もちろん昼の4人やで、と最後に付け足す。


『でも、忍足先輩たち部活で大変なんじゃないの?』

「それが来週の日曜日顧問の先生の都合で部活オフになったらしいわ」

『そうなんだ』

「で、どないする?嫌やったら断ってもええんやけど」

『行きたい!』

「了解。ほな謙也にそう言うとくな。また詳しくは謙也と話し合って決まったら言うわ」

『わかったー』


4人で遊ぶのかあ。

楽しみだなあ〜。


その前に恐怖のテストがあるんだけどね…。


でも!楽しみがそのあとに待ってるって思えば頑張れる。

ふふ、と笑えば隣からすかさずきついお言葉がはいった。



「にやけ過ぎてきもいで」

『えっひどい!』

「自分、あの人らと仲良かったん?」

『うーん仲良いというか…怜ちゃんが忍足先輩と付き合ってるからそれを通して、みたいな』

「ああ…そういやそうやったな。一丁前に謙也さんも彼女つくっとったんか」

『なにそれ』

「あの人ヘタレとるさかい一生彼女とか出来ひん思うとったねんけどな」


うわー失礼!と言えば当然のことを言うたまでやと言いまた視線を携帯に戻す。

ほんとにこの間白石先輩が言ってた通り先輩に対してもだいぶ毒吐くんだなー…。




『財前くんはどうして彼女とかつくらないの?』

色んな人から告白とかされているのに。


そう聞けばはあ?と軽く馬鹿にされたような目で見られた。
数秒間をおいて溜息交じりに口を開いた。


「興味ないねん」

『女の子に?』

「ちゅうかあんな香水くさい奴らの隣歩く思うただけでぞっとするわ」


こ、香水くさい奴…。

告白した子が聞いたら号泣ものだ。


財前くんに告白する女の子は清純派もいるんだけど、比にならないくらいなぜか派手な女の子に好かれる。



…きっと原因は財前くんの耳に光る5色のピアスなんだろうけど。


「言うて苗字もつくらへんやん」

『え、ええ?私?』


予想外の返答に少し、いやかなり戸惑った。


『そ、そんなのだって…私人に告白とかされないし…』

「好きになっても自分から言わへんの?」

『…うーん、言いたいけど…勇気がなあー…』

「ふーん」


ちらりと財前くんの方を横目で見れば珍しく机に肘をついてこちらを見ていた。

がちっと合ってしまった視線に慌てて顔を伏せる。



うわあー…び、びっくりした。

まさかこっち見てるなんて思いもしなかった。



「なあ」

『ナ、ナンデスカ』

「なんでカタコトやねん」

『すみません…』

「いつ空いとる」

『え、え?』

「いつ空いとるか聞いてんけど」

『えっとちょっと待ってね…』


焦ってカバンの中からスケジュール帳を取り出し今月の予定を見てみる。


「来週の土曜」

『え?』

「来週の土曜空けといて」

『え?えーっと…』

「聞こえへんのか?」

『き、聞こえてます!』



予定を聞かれたから私の都合に合わせてくれるのかと思った…。






私の考えを見通したのか「絶対自分いつでも空いとるやろ」と言われ図星だったので黙りこくるしかなかった。


とりあえず絶対に忘れることのないように来週の土曜日の欄に“財前くん予約”と2.0ミリの太いペンで書いておいた。

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