「ハァッ・・・ハアッ・・・」
一心不乱に走る
べっとりと汗で背中に張り付いたYシャツが気持ち悪い
どこまで走ろう
いや、どこまで走れば逃げ切れるのといった方が正しい
「ハッ・・・やっちゃったよ私・・・やっちまった・・・」
走りながら呟く
さっきのことが頭から離れない
我ながら自分の行動に拍手を送りたい
うん、あれは事故だよ事故
「…ったぁー」
何かに躓いて転んでしまった
怪我はないが、前に倒れたため膝がじんじんする
最悪すぎる
踏んだり蹴ったりだ
地面に座り落ち着きを取り戻した
そして先ほどの出来事を整理するために頭の中でリピ−トしてみる
「ハッ。そんなくだらねーモン壊した記憶はねぇよ」
そう言われて私はカッとなって
一歩踏み出し腕を上げて力を込めて
「この腐ったボンボン野郎ーっ」
と叫びながら渾身のビンタして逃げてきてしまった
やっちゃった
後ろで「この俺様の美顔に…」って聞こえたけど
笑えなかった
後で気づいたけど、あいつモテるからあいつが私に殴られたって女の子たちに言ったら
私はきっと、……コロサレル
いやいやでも名前とか知らないはずだし
顔知ってても学年違うわ生徒数多いから見つかんないわで大丈夫だろう
そんなこと言ってても焦りと恐怖しか湧いてこない
学校生活に安心感を激しく求めた今、この時
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