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結局誰にも携帯が壊れたことを切り出せずに次の日になってしまった



私はというと朝早く家を出て校門前で張り込みをしている


昨日あの車は確か校門の前を通った


だから多分・…っておいおい



なんだか校門で張り込みをしているのは私だけじゃないようだ



女子生徒がわらわらと校門に集まっている


しかもかなりの数


皆きゃあきゃあ言ってる


一体何事なんだろう





数十分経過、私が諦めかけた時だった



校舎に向かって歩いていた私は驚愕の風景を目の当たりにしてしまった




突然黄色い声が大音量で校門側から聞こえた



思わず振り返ってみると、なんと黒い車が校門前に止まっているではないか



女子生徒はその車の周りを囲んだ



その車の運転席が開かれ運転手らしき人が出てきて、女子生徒をどかしながら後部座席を開けた



中から出てきたのは、ざらでもない態度の男

氷帝の制服を着ているからここの生徒だ



というよりあの人確か名前は…えーと


・・…見たことあるけど忘れてしまった人だった




外見がなんかすごいピカピカチカチカ輝いている

顔は蔵と同じぐらい整ってる



中学生が車登校ってリッチすぎだろ。いや確かに氷帝はお金持ち学校だけど車登校はさすがに。



…車登校?



黒い車?




わたしはハッして車のナンバーをみた



少しボヤけたが、あれは確かに"2580"



てことは、あの彼が…




私は彼に今すぐにでも謝罪を入れてほしかったが
空気を読み周りが静まるまで身辺調査を兼ねて尾行をした



が、彼の学校生活はまさにバラ色らしく
いつも近くに女子がいる




何なんだあのチャラ男は




休み時間のたびに女子をたぶらかしている様だ



しかも毎回ちがう女子




休み時間の度に尾行をしている自分も馬鹿らしい





放課後のことだった



お家直行の彼かと思ったが、大きいバッグを持って一人でどこかに行くようだった



おいおい、そんなおっきなバッグ持ってどこいくんだ



この道のり的に彼は体育館裏の通路を使うようだった




私はこれを逃したら次はないような気がした




彼が体育館裏の通路に差し掛かったとき、私は走って彼のもとに駆け寄った




「…あんたっ!」



恥ずかしくてしょうがなかったが名前が分からなかったので
彼の背中に向かってそう叫んだ




彼はゆっくり振り向いた




そして言った



「…あーん?」





・・……




その瞬間私の時間が止まった




「・・ぶふうっ!!!」



我慢が出来なくて思わず吹き出してしまった



やばいよこの人


何言うのかと思ったら「あーん?」って!!!


さすがお坊ちゃま


期待を裏切らなかった


どんな教育受けたらそんな言葉がでてくるのさ!



「人の顔見て笑うとは度胸あるじゃねーの」




ちょっ、この人まるっきし自覚無いんだけれども




「ぶふっ…いや、あのですねぇ…ぶはっ」




駄目だ、ついさっきの「あーん?」を頭の中でリピートしてしまう



「お前失礼にも程があるぞ。告白なら後でにしてくれ。」

「告白なわけあるかボケ」

「ハッ!照れても落ちる俺様じゃねえぜ?」

ああ自意識過剰なんだこのひと


「…これは何でしょうか?」




私は鞄から壊れた携帯を取り出した



彼はそれを見て興味がなさそうに答える



「あーん?ただの壊れた携帯だろうが」




「ぶっぶー。正解はあんたが壊した大事な携帯でしたー」




わたしはどや顔でいってやった



彼は未だポーカーフェイスのままだ



「ハッ。そんなくだらねーモン壊した記憶はねぇよ」



彼は見下した目で私を見た






涼しい気温とは裏腹に、その一言で私の腸は煮え繰り返った





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