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後日、再び教室に忍足侑士は訪れた



今度は何事かと思えば、昨日の成長の過程の感想文を書けというものであった



しかも原稿用紙10枚分


本当にバカなんだと改めて実感した



私はすぐさま手渡された原稿用紙を破り捨てた



「自分勇気あるなー」


忍足侑士は呆れるどころかその行動に感動していた



この人は一体誰を味方しているんだろうか




「跡部景吾の写真ありますか?」



そう言うと昨日と同じアルバムを取り出し現在と同じ外身をした写真を何枚か渡してくれた



「これ頂いてもいいですか?」


「何に使うんねん。オカズにするんかいな。」



私はそんな言葉が耳に入らないくらい考え夢中になっていた


これから始める作戦Aに



口元には溢れ出たかすかな微笑が浮んでいた




その後跡部景吾の出没場所と時間帯を聞いた


放課後は部活と言っていたけど、どこに所属しているのだろうか






昼休み屋上に私は向かった



新聞紙と例の写真とマッチを持って




「おー、さぶ」




屋上の扉を開ければ、少し冷たい風が通り過ぎていった




周りを見渡してみる



…奴はまだ来てないらしい






私は少し端により腰を下ろし新聞紙をちぎり山にしていった





そんな時だった




向こうで扉が開く音と足音が聞こえた



段々と話し声が聞こえてきた



奴だ。そう感じた。



私はすぐさまマッチでちぎった新聞紙の山に火をつけた




「あっ、みょうじちゃんやん!」



声の方向を見ると、予想通り彼はいた


あと予想外の付属品めがね。





私は無視して火を大きくしていた




「自分火なんかつけて焼き芋でもする気なん?」



足音が近づいてきた



私は大きく燃え上がった火の中に例の写真を投げ捨てた



跡部景吾の写真を



写真は形を変えながら燃えていく



彼はこれをどんな風に見ているのか気になったので顔を上げてみた


だけども目の前は透明な世界が広がっていた



え、なんなの



それは一瞬で、次の瞬間には体中が冷えていた



彼の手にはバケツ


水を思いっきり掛けられたようだ

火は消えていた




「…何してんだテメーは!!」



現実に引き戻したのは、彼の罵声であった




「…こっちのせりふだよ、あほ」



びしょ濡れになってしまったことを主張してみたがそれは意味が無いことだった



「火事なんか起こしてどうするつもりだ?!」



「火事にしようとしてない。焚き火」




「…なんの嫌がらせだ?これは」



彼は中途半端に燃え水で濡れた写真を手に取って見せた




顔だけ燃えて無くなっている



彼にとって最悪のことだろう



「諸々の嫌がらせ」



「ごめんなさいって謝れば許してやる」


跡部景吾はにやりと笑った



「私もう行くから」



「あ-ん?逃げんのか?」



「うるさいな、スト−カ−」


私はそう言って彼の横を通り抜け走っていった




横切る時、彼から小さな笑い声が聞こえた




…気持ち悪い







屋上に残された彼らは怒る表情もせずただ笑っていた




「跡部珍しく怒ってないやん」



「あんな珍しい女は初めてだ。扱いがわかんねぇ」





誰も知らない彼らだけの会話













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