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「へぇー、それは大変だったね」


目の前でお弁当を突っつきながらぽかんとした顔で言う葵。


葵とは中学からの仲良しで一緒に氷帝学園に入学した。


運がよくクラスも一緒になった。



「その彼はもしかしてなまえのことすきなんじゃないのー?」



葵はフフフと笑った




「ないないない。むしろやめて」



私は手をぶんぶんと左右に激しく振り否定した





「だってさぁ、2人は正反対でしょ?人は自分に無いものに惹かれるもんなのよ」




葵は私の前にびしっと自信満満そうに人差し指を立てる




「あんな非常識に惹かれたくも無いわ。うん」



自分で言って深く頷いた




「もしかしたら彼が今後さぁ」

「はいはい、もう終わり!あいつとはもう一生会うことはありません!」




私はお弁当箱のふたを思い切りしめて葵の話を中断させた





その時だった




「ここ、ええかな」



見知らぬ眼鏡男が現れた。






眼鏡男は私とあおいが向かい合ってる席の横に椅子を持ってきて、どさりと座った






私と葵はお互いの顔を見合わせ、席を立った




「私たちは用があるのでお好きに使ってください」


私はそう眼鏡男に言い放った


「用あるん?しゃあないなぁ」



私たちは彼の言葉を最後まで聞かずにダッシュでトイレに向かった








「ごめん。聞いていい?何あれ」



私はトイレの蛇口の前に立って隣にいる葵に言った





「知らない。なまえの知り合いじゃないの?」



「全然。葵も違うって顔してたもんね」




じゃあ、あの人は何だろう



葵と話しててあまり気づかなかったけど、出て行くとき教室内がすごく騒がしかった





「何者なんだろう。あの人」


葵はそう言ってうんうんと考え始めた


「…完全変質者でしょ。」



私は目を細め言った




「どうしよう。気持ち悪い」


「大丈夫だって。なんかの間違いだよ。バカなんだよきっと。」




葵をフォローして、十分くらいたったから眼鏡男はもういないだろうと言って教室に帰ろうと誘った



葵もまだいたら相当変質者だよね、と言って教室に帰る事にした





教室に行くと彼の姿は見あたらなかった




だけど、私たちの席の周りに女子限定の人だかりが出来ていた




私たちは不審に思い近づいてみた




「お、自分らやっと帰ってきたん?遅いわー」




いた、確かにいる




彼は人だかりで遠くからは見えなかったようだ



「変質者決定」




私は彼に向かって小さく思わず呟いてしまった



「うん?なんか言った?・・せや、この子に用があるんで来たんや。後にしてもらえんかな?」




変質者はそう言って周りにいた女の子を散らせた



女の子たちは私たちを見ながらどこかに行ってしまった




「はよう座ってや」



そう言って彼は机をぽんぽん叩いた



「用って何ですか」


葵が冷めた視線を送りながら言った





「そっちの子にな、話すことがあんねん」




「は」




変質者は私を見た



「私はあなたを全く知りません」



「お互い様やん。ええから、はよ座りいや」



「言いたいこと言って早く出てってくださいね」



私はそう言って席についた


同じように向かいの席に葵も席についた






「実はな、」


変質者はゆっくりと口を開いた







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