[]






長い長い時間を経て、ついに最終ステージとも言える六時間目がやってきた。
特に何もすることも無い私は机にうつ伏せになりながら、帰ったら何をしようかとか今晩のご飯はなんだろうとかそんなくだらないことを考えてた。


その時頭にコツンと何かがぶつかった。
頭を上げてみると机の上にはくしゃくしゃにしてある小さな紙が置いてあった。
それを開いて中身を見てみた。


『だ る い(-_-)b byかなこ』


しょーもな!
(-_-)bじゃねーよ!
くだらなさすぎる内容に呆れながらも、言いたいことがあったので返事を書いた。


『一緒に帰ろ(-_-)b byなまえ』


私は友人のいる斜め前の前の前に狙いを定め振りかぶった。
ぶっちゃけ運動神経がないから自信ないけど、これくらいはできるはず、だった。
だったのに。

私やっぱり駄目な子だった。
紙は斜め前の前の人の机にちょうど落とされた。


しょうがない。頼んで前に回してもら、

なんてことだ。大変なことが起こった。緊急事態だ。

おもっきし手紙読まれてる。
そこまではまだいいけど。いやよくないけど。
本当によくないのは、机の主があの跡部景吾ってことだ。

あれなんかこっち振り向いてすごい不敵な笑みでこっちを見てるよ。
お前如きがこの俺様に…良い度胸してんじゃねぇか。この賞味期限切れのソース野郎が。
みたいな顔してらっしゃるよ。

私は必死に×マークを上半身で必死にジェスチャーした。

すると彼は前を向いた。
ああ分かってくれたんだ。よかった。
馬鹿じゃなくてよかった。うん。





「帰ろうぜ」


この人の頭誰か交換してやってください。

帰りのHRが終わってすぐに跡部くんがこっちに来たからもしやと思ったけど。
9割くらいは、お前の運動神経はどこにあるんだ?そうかそれ自体無いのか。ハーハッハ!、とか言われるだろうなあって思ったよ。



「いや、あのあれは、」

「なにグズグズ言ってんだ。行くぞ」

跡部くんは私の腕を引っ張って教室を出て廊下をズカズカと歩きだした。
ああ見てるよ。周りの視線が半端じゃないよ。

「ま、ま、ま!」

「喜べ。お前のために最高級の車ともてなしを用意してやった」

私の言葉を一つも耳に入れてすらくれない跡部くん。
いや、まてまて。本当に待て。
私たち何を言おう初会話だぞ。大事だから二回言うけど初会話だぞ。


校門を出てみれば、人生初で人生最後のリッチさだ。
いやもうツッコミどころがありすぎて、ツッコミする気力すら起きない。
ただ口が呆然と開くだけだ。


「なにボケッとしてやがる。早く乗れ」

運転手さんらしき人が、ぴっかぴかの黒いリムジンの後ろのドアを開けて私が入るのを促している。


「お、おじゃまします」

どうしてこうなった。

跡部くんも車に乗り私と対面する形で座った。
そしてグラスを私に差し出す。うおおリッチだ。

「あ、あの。跡部くん部活は?」

「ああ。お前を送ってからまた学校に行く。出せ」

跡部くんの合図とともに車が動いた。

「それってすごい迷惑じゃん。私一人で帰れるし学校に戻ろうよ」

「何言ってんだよ。誘ったのお前だろ?」

誘ってはないけどな。
誰かさんが勘違いしただけだけどな。

「それにコレ決めたのは俺様だ。迷惑とか勝手に決めつけんじゃねぇよ。」

うわあ。すごいどや顔だ。
もう勘違いとか言えないやこれ。



これが原因で跡部くんのウザ絡みがはじまったのは後の話。





ポジティブな勘違い野郎
(なあ忍足)
(なんや跡部。真剣な顔して。)
(『(-_-)b』この顔文字流行ってんのか)
(いきなり何やねん)






















- 4 -


PREV|BACK|NEXT
[]
topsite name
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -