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もし目の前にこたつにあったら思わず我先にとダイビングしてしまいそうなこの季節。
私は校門の前に突っ立っていた。
周りを見渡せば禿げた木があるのみ。
なんて寒いんだろう。
もうすぐ日が暮れようとしていて更に私の体温を下げる。




「おまたせ」

「あ、うん」


綺麗な青い髪をなびかせた一人の男が、私に近づいてそう言った


「結構待った?」

「ううん大丈夫」


男が少し心配な顔をして問いかけた。


「だよね」


あれ


「待ったとか言ったらぶん殴ってやろうかと思ったけど、待ってないよね?」


あれれ


「ハイ、待ッテマセン」

「うん。いい子だね。行こうか」


彼は校門の外へと足を向けた。
その後に私も校門を出て彼の隣を歩いた。


もうお分かりだろうか。いや、分かって。
分かりたくないとか言わないで。私だって現実逃避したいさ。
寒い中超待ったんだけど。手とか激寒なんですけど。
だけどそんなこと言える訳が無い。
だって目の前の方が言わせてくれないんだもの。

この方は私の、私の最近出来た彼氏の幸村精市だ。


一年生の時一目惚れして、片思いの末最近告白して付き合った。
接点なんか無いもんだから彼の性格は深くまでは分からなかった。
ただ、責任感が強く真面目で優しいとしか思っていなかった。


告白した時に「僕について来てくれる?」などと聞かれたが
なんのこっちゃらと正直思ってが「はい」と返事をした。
今になればその意味がよく分かる。

要は「僕(の恐怖政治)について来てくれる?」ということを彼は言っていたんだと思う。
()内がすごい恐ろしいや。


言わなくても分かるだろうけど、彼の本当の正体は魔王様なのだ。
確かに優しいのだが、優しさとは違う何かがある。
今はまだ解明中だ。


「そっそういえば明日はクリスマスだね」
「うん、部活」
「え、」
「あの老け顔が部活なんぞ入れやがってさ。困ったもんだよね」


フフフ、と微笑むその顔は誰が見ても分かるだろう。
怒っている。かなり不機嫌だ。
確かに笑っているのに何故か威圧感と言うかダークなものを感じる。
ああ恐ろしや。


今年こそはやっと出来た彼氏と過ごせるヤッフー!(旧万年フリー)と思ったけど、部活ならしょうがない。


「そっか大変だねアハハ」
「なんかそれ腹立つなぁ。フフフ」


私的には最善のフォローを入れたつもりだった。
だが魔王様はお気に召さなかったようだった。
またもやダークなものを感じた。




あいた!なんか太ももが痛い!
いたたたた!


「幸村君なんだか凄まじい形相してるけどどうしたの」
「真田に太ももとかどっかつらないかなって星にお願いしてるんだ」


何それぇぇ!
隣の私に願い事きちゃってますけどォォ!
つるどころかなんか張り裂けそうなんだけど!
いたたた!


私はお願いだか念力だか呪いだかを阻止するために
頭をフル回転させて考える。
いや無理無理!なんだかしらないけど無理無理!
どうしようこんなとこで死にたくない。
兎に角何か言わなければ・・!






「そっかぁじゃあわたしは幸村君に明日サンタさんが来てくれるようにおねがいしよっかな」







「…え」
「…」
「…」




幸村君はきょとんとした顔をしてこちらをみていた。
そんな顔も美しいな畜生!




無言の末幸村君の発した言葉。





「あれ?もう氷河期がくる季節だっけ?すっごい寒いや」



私が落ち込む隙を与えない速さで、幸村君は私の手を掴み自分のダッフルコートのポケットに入れた。




「ゆ、き」


彼の手と私の手が中で結ばれ、私の心臓は活発に動いた。



「寒いでしょ?フフフ」






その微笑み諸々に心臓止まりそう
(どうしたの顔真っ赤だよ?)
(だっ誰のせいで・・!)
(へぇ、嬉しくないんだ)
(・・トッテモ嬉シイデス)
(フフフ)





















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