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いつも通りの和やかだった昼休みがこの一言で崩された。


「みょうじ!お前霊感あるって本当なのか!?」

「は?」


いきなり走ってきて私のいる机の前にきた男。跡部景吾。
通称テニス部イケメン部長兼イケメン生徒会長兼イケメン御曹司。この男の美貌と財力と才能に嫉妬している人間は数知れず。一つぐらいよこせ畜生!



「隠すな!プロフィールに特技、霊視って書いてあったじゃねえか!」

「ああ、それね」


クラスの自己プロフィールの紙に確かに霊視とは書いた。正しくは霊視(笑)だけど。面白半分だけど。この男まんまと信じてんだけど。


「実は、最近右肩が重い」


なんか急に相談始まった。え、なにこの人。笑うとこ?笑ってもいいの?


「霊視してあげるよ」


面白いからからかってやろうか。この人案外ばかっぽいしププー!



「…なにか見える、か?」


「うんたらべっちゃうんたらべっちゃ。さあ跡部も!」


「お、おう。うんたらべっちゃうんたらべっちゃ。」


「声が小さい」


「うんたらべっちゃ!うんたらべっちゃ!」


「見えそう見えそう!はんまんだーはんまんだー。はい!」


「はんまんだー!はんまんだー!俺様の右肩の原因よー!」


アドリブまでノリノリでつけてる、この男のプライドは一体どこに行ったのだろうか。




「あ、見えた!」


「どうだ?」



「……髪の長い女がいる」


「なん、だと…」


何その顔!
嘘だよー。これ嘘だからねー。何でそんな信じるんですかー。面白すぎー!


「心当たりあるの?」



さも見えます的な感じを醸し出し続ける私。才能だねこれはうん。


「いや…ない、が…」


「恨まれることでもしたの?すごい睨んでるよ」


「ヒィ!」

あの俺様ナルシストの跡部様からヒィって聞こえた気がするけど聞き間違えだなきっと。新しい扉が開かれつつあるような気がするけどそれも誤解だなきっと。


「あ、わかった生き霊じゃない?フった女の子の恨みの念とか。ひどいフリ方とかした?」


「…ま、じでか」


跡部は指を折って、どうやらひどいフリ方をした女の子の数を数えてるらしい。あれ2往復目に突入してる。嫌みかコラ。あ、でも折ってる指が震えててウケるから許してあげよう。


「正確には分からないが、20ちょっとぐらいか?」


「あーもうそれヤバいね。終わったね跡部氏」


「そそそそそんなにか!?」


「うんヤバいよ跡部死」




ただ跡部をからかうだけの話
(脂汗とんでもないことになってるけど)
(おおお俺はどうしたらいいんだ?うおー!)
(跡部が崩壊したなう)














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