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「な、」



なんじゃこりゃー!と叫びたい衝動をなんとか押さえて頭文字だけに留まれた



ああ、なんだこれ。どこぞの乙女だ私は。
てか乙女の域を通り越して気持ち悪い。
病院行った方がいいかな。行った方がいいよね絶対。



「なに一人で驚いてるん?」




前の席の財前君はめんどくさそうにこちらを振り向いた。
めんどくさいなら振り向かなきゃいいのに。
・・・自分で言って悲しくなってきた。

もちろん私は振り向く瞬間にノートを上に置いてある教科書で隠した。
だってノートには私の羞恥の塊が書いてあるから。
財前君にそれを発見されたら何ていわれるか想像がつく。



「いやいやなんでもないよ、うん」



私は授業中だと言って彼を前に向き直すように促す。
だけど彼はそれを無視した。



「何か隠したやろ」

「私は授業という時間を一人で過ごす使命がある、気がする」

「黙れや、見せてみ」



財前君はほれ、と言って仰向けに手を差し出してくる
私は思わず自分の手を乗せた。うん無意識にね。
は?みたいな顔してるけど見えない見えない。



「何なん自分何なん」

「見て分かりませんか」

「きしょいから手どけろや」



きしょいだってー。はは。笑える。きしょいだってー。
そうだこいつはこーゆー奴だよ。
サラっとクールに人の心をシュレッターにかけるんだから。
さっきまで一つにまとまってた心がもうさらさらしてるよ。粉雪だよ。



「はよ見せろや」


財前は私の手を払いのけノートを取りあげた。
あ、終わった。私の青春LIFE終わった。


「…お前」


信じられないと言う顔を向けられた。
やめてくれ。顔向けないでくれ。いっそ地の底に落ちていきたい。



「俺に恨みとかあるんか?これは呪いの儀式か?」


財前は取り上げたノートのとあるページを私に向けた。
やめてくれ。見せないでくれ。いっそそのページと共に地の底に落ちていきたい。



そのページには「財前光財前光財前光財前光財前光財前光財前光財前光財前光」と大きさがちょいちょい変わりながら、殴り書きで書かれていた。

(銀○の地味な人が書いたアンパンを思い浮かべてくれると嬉しい)



気持ち悪いでしょ。自分でも気持ち悪いよ。
ノートの端から端まで隙間が無いくらい書いてあるんだもん。
キャン○スさん大喜びだよ。



大事なことが一つある。


私はこれを書いてる間いつものように財前を眺めているだけだった。
つまり無意識だった。



え、なんで財前を見つめてたかって?
いやだってこいつかっこいいもん。さりげ優しいもん。
なんかいつのまにか心臓がドキドキしてたんだもん。



「なんか書いてた」

「えええ」


あの財前光が表情に出してドン引きしてる。あの財前光が。


「俺爪短い方が好きやからな」

「は?」

「短くせぇ。衛生的にな」

「え、ちょ」


さっきまで頑なに前を向かなかったのにあっさり向きやがった。


自分の爪をみた。
家帰ったらマッハで切ろ。






こういうパタ−ンも案外イケる

(あれ財前耳真っ赤だ。熱なんかな。)





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