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おかしい。
そんなはずがない。
嘘だと言ってくれ。
俺にはこの事実を受け止めることなんてできない。
有り得ない。有り得るはずがない。
これはなんかの間違いに決まってる。


「はよ。白石誕生日おめでとう」

「けっけんや…!」

「なんやねん。泣きそうな顔して。そんなに自分の誕生日が嬉しいんか?」

「ちゃうとは言えんけど。そやな、…今の俺はまるでビルから突き落とされたホームレスや」

…グッジョブ!

「あいつは朝練10回中10回遅れてくるから後一時間後ぐらいしたら駆け足でやってきて、きっとこう言うんや。
わっ私を、貰ってください。present for you」

「た、たまらん!」

「真っ赤な顔してな。そんで白石はあいつを強く抱きしめる!ハッピーエンドや」

「最高やなそれ!」

「だからあと一時間少々の辛抱や」

「朝練はりきってやんでぇええ!」

俺は謙也と肩を組みながらテニスコートへと向かった。


「先輩らきもいっすわ」

そんなことを呟くジャリボーイをどつきながら。











「ふあー。ねむい」


そんなことを呟いているといつのまにかテニスコートについていた。


「おはようさん。今日もまたトロかね」

「まあね。今日もまた一段と立派な身長だね」

「ふっ、妬むんじゃなか。白石が待っとるばい」

「は?白石?なんで?」

「知らんけん。はよ行ったほうがよかよ」

「あーそうなの。かなりやだなあ」


私は千歳とお別れしてとりあえず部室にむかった。



部室の前には財前と謙也と白石がいた。


財前はずっと呆れた顔をしていて、ああまたくだらない2人がくだらないことで盛り上がってるんだな、と察した。


「あ、先輩や」

びしっと迷いのない顔で私を指差した生意気な後輩財前。このうんこ野郎。

するとその言葉に反応した2人がこちらを向いて近づいてきた。
白石にいたってはなんか鼻息荒いし顔がニマニマして気持ち悪い。
まるでゾンビに襲われてる気分だ。あ、でも気持ち悪いのはいつもか。


「何か用?」


すると白石はぴたっと足を止め、こちらを絶望したような顔で見つめてきた。


「そんな焦らさんでもええやん。はよ言ったり」

謙也がそう言うと白石はまたニマニマしだした。なんだこの立ち直りの早さ。

「は?何を焦らすの?何を言うの?」

あ、また白石の顔が素早く絶望にシフトチェンジした。表情豊かだな君。

「え、まじか」

「何がまじだよ。こらそこの少年は何を爆笑してるんだ」

「先輩いかしてるっすわ。ぶはっ」

おいおい。財前がそれ以上笑ったら死ぬぞってぐらいに笑ってるんだが。何事だ。


「そんな、わけ、あらへん…」

もう片方では両手で頭を抱えながら、頭をぐるんぐるん振ってるやついるし。
何なんだこの状況。


「ほんっとに分からんか?この謙也に誓って言えるか!?」

「いやいや、ほんとに意味わからん。その謙也に誓うわ」

「……ほんまみたいやな。今日はな、…白石の誕生日やで。覚えとらん?」

「へえ初耳。興味ない」


そういうと更に財前が笑い出し、更に白石は頭を激しく振りだした。


「白石無念。コイツ人間じゃあらへん」

「おいコラ謙也」


いつのま白石は振っていた頭を定位置で止め、ぼさぼさの頭でこちらを悲しそうな目で見て来た。いや怖いだけだけどね。


「ずっと待ってたんやで?祝いたくて祝いたくてしょうがないけど俺の愛を試すために焦らしてるんかと思って、いつでもすぐ電話に出たりメ−ル返すためにずっと夕べは起きとったんやで?全ては愛の試練のために!」

「そんな愛を試すような仲にいつのまになったのさ。凄いポジティブな脳みそですね。」

「おめでとうとかプレゼントとしてキスしてくれたりしてもいいやん!誕生日なんやから!」


「最後はおかしいだろ。まあ、おめでとうおめでとう」


すると白石の顔がぱあっと明るくなった。


「謙也!二回も言われてもうた!」

「ああ、うん、そやな」

気づけば謙也は私と同じく哀れみの目を彼に向けていた。
テンション高いのお前だけだぞ、と言ってやれ謙也!やれ謙也!


「せや!プレゼントはあらへんの?何でもええで!例えば下着とか!」

7:30
(白石、それ…)
(ええやろ!まさか俺にプレゼントをくれるやなんて…)
(部長。
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