あつい、あつい。溶けてしまう。いつもは体温が低くてひんやりとした御方なのにこうして触れ合う時は、ほんとうに熱くて驚かされる。その手が、くちびるが、わたしを撫でて愛でる度に溶けてしまいそうになる。あつい、あついです、溶けてしまいます。吐息混じりでこぼせば先生のくちびるが笹舟の形になった。そのくちびるがわたしのそれと重なる。何度も何度も角度を変えて深く貪られる。あつい、あつい。くるしい。飛びそうになる意識を必死に繋ぎとめながら先生の薄い背中に爪を立てた。でも、先生は止まらない。この御方はずっとずっとずっとわたしに触れて熱を与える。長い口接けから解放されると安堵に似た溜め息が零れた。
「あつ、い」
「えぇ、とても」
「とけてしまい、ます」
「それもいいでしょう」
「せんせい、」
「融け合って、混ざって、離れずに済むのなら」
先生のくちびるが首筋を滑り落ちる。普段は制服に隠している秘められた肢体に、先生が触れる。溺れそうになる感覚が恐ろしくも感じたけれど拒むことは出来なかった。年相応に膨らんだ胸に先生が口接ける。身体が跳ねて、また先生の背中に爪を立てる。融け合って、混ざって、ひとつになる。そうしたら離れずに済む?もう何度目か分からない甘い波に身を委ねて目を閉じた。夜はまだまだ明けそうにない。
融解する夜明け
Thank You Nunu!
100915/TEN