「うーん…」

「唸っちゃってどうしたの」

「それがよォ、最近どうも身体の調子が可笑しいんだ」

「え、ルフィのくせに」

「なんだとコノヤロー。ほんとに可笑しいんだよ。なんかここら辺が痛むんだ」

「ここら辺って…え?ほんとにそこが痛いの?」

「おう。ぎゅーって掴まれたみてェになるんだ」

「ぎゅーって…そこ心臓だよルフィ!」

「なにイイイイイ!…って、どういうことだ?」

「心臓が痛いってことはきっと何かの病気なんだよ!」

「えええええええ!おれ病気なのかァ!?」

「実は…わたしも時々心臓が痛くなるの。怖い病気だと思って誰にも話せなくて」

「おめェもなのか?なんだ?これどんな病気なんだ?」

「知らないよ。でも心臓が痛むんだもん、きっと重い病気なんだよ」

「病気に体重があんのか?」

「あーもう馬鹿!」

「なんだとコノヤロー!」

「とにかく心臓が痛むなんてただ事じゃないよ!もしかしたら…」

「…もしかしたら?」

「…死んじゃう、かも」

「……」

「……」

「……」

「……」

「嫌だアアアアアア!おれ死にたくねェ!まだワンピースを見つけてねェのに死ねるかアアアアアア!」

「わたしだってそうだよ!まだまだ美味しいものたくさん食べたいしみんなと旅を続けたいのに!」

「おお!だよな!みんなと離れたくねェ!」

「じゃあルフィ、チョッパーのところに行こうよ。わたしひとりじゃ怖くて」

「そうだな。チョッパーなら治せるかも知れねェ」

「あ、ナイスタイミング。おーいチョッパー!」

「ん?うわっ!ふたりとも真っ青だぞ?どうしたんだ?」

「それがねチョッパー、わたし達病気かも知れないの」

「そうなのか!?」

「心臓が痛むんだよな。治してくれチョッパー!」

「心臓が痛むのか?うーん…それはいつも?」

「いや、いつもじゃねェ」

「あ、わたしも。わたしは…そうだ!ルフィといたら苦しくなる!」

「おめェもか!?おれもだ!なんかおめェ見てたら心臓が痛ェ!」

「誰かを見たら心臓が痛むなんて聞いたことないよ…もしかすると不治の病とか」

「フジ?フジってなんだ?旨いのか?」

「ねえチョッパー、不治って治らない病気のことじゃないの…?」

「……」

「……」

「……」

「……うん」

「嫌だアアアアアア!おれ死にたくねエエエエエ!」

「わたしもやだよ死にたくないようわあああああん!」

「ごべんよぶだりどもおれぐぁもっど勉強じでればよがっだのにいい!」

「チョッパーは悪くないよ!…う、うわあああああん!」

「ううっ、泣くな!泣くんじゃねェ!」

「ルフィだって泣いてるじゃない!」

「泣いてねェ!泣いてる場合じゃねェんだ!」

「…え?」

「治す方法を見つけるんだ!それで、おめェだけでも生き残れ!」

「やだよ!生きるならルフィも一緒じゃないと嫌だ!」

「でも」

「ねえチョッパー!わたしも手伝うから薬を作ろう?お願い!」

「ぐすっ、勿論さ!ふたりはおれが治してみせる!」

「…どうしても駄目だった時は」

「なに?」

「おれも一緒に死ぬから、安心しろ!」

「…ルフィ…!」










「あー苛々する。ちょっと殴ってくるわ」

「気持ちは分かるけどナミさん落ち着いて」

「なんでくっつかないのかしら…」

「馬鹿なんだろ」

「確かにアレは馬鹿だ」

「スーパーな馬鹿だな」

「平和ですねェ…」



鹿





(100613/ten)
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