「蛇姫様、チョコレート受け取って下さい!」

「…これはそなたが作ったのか?」

「は、はい!恐れながら手作りでございます!」

「良いところに来た!」

「え?」

「わらわにチョコレートケーキの作り方を教えてくれ!」


と、言う訳で。

私は今、蛇姫様にガトーショコラの作り方をお教えしている。なんでも蛇姫様はあのルフィにチョコレートを贈るらしい。私はそれが面白くなかった。あんな下品で卑しい生き物が蛇姫様の作ったものを食べるなんておこがまし過ぎる。小さい頃から蛇姫様に憧れている私ですら食べたことないのにあんな男が…あああ腹が立つ。そんな私のぐちゃぐちゃした感情とは裏腹に蛇姫様はオーブンを見つめている。蛇姫様は眉目秀麗なだけでなく頭脳明晰であらせられるからガトーショコラくらいパパッと簡単に作ってしまわれるのだ。チョコレートの湯煎もすぐに終わらせて後はオーブンで焼き上がるのを待つだけである。


「ルフィは喜ぶだろうか…」

「勿論!蛇姫様がこうして一生懸命作ったのです、喜ぶに決まってます」

「そ、そうか!」


嬉しそうにパアッと笑う蛇姫様。嗚呼なんとお美しい!周りに花が飛んで見える。美しさが留まることを知らない。ルフィめ、本当に腹が立つ。喜ばないものなら私が殺してやる。その時オーブンが焼き上がりを告げるベルを鳴らした。蛇姫様が手袋をつけてオーブンを開け、ガトーショコラを取り出す。色も形も大丈夫。蛇姫様に断って一欠けら味見するとものすごく美味しかった。ぐおおお蛇姫様ってば愛情篭めすぎぃ…!心配そうに私を見つめる蛇姫様に口許を押さえながら「ものすごく美味しいです」と言うと顔を赤らめて幸せだと言わんばかりに微笑んだ。そして何を思ったのか私の手を取ったではないか。蛇姫様の手が私の手を、あああ…!


「ありがとう。そなたのお陰じゃ」

「い、いえ!ラッピングもお教えしましょうか!」

「うむ、是非頼む」


ルフィの奴、蛇姫様泣かしたらマジで殺してやる。


赤いハートに託して






(100214/にやり)
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