「峯さん峯さん遊びましょ」

「今俺が何してるのか、見えないのかお前は」

「仕事してますね」

「解ったらお前も仕事しろ。片瀬君は何をしてるんだ」

「片瀬さんなら私が休んでおくように言いました!」

「イイ笑顔で何言ってるこの馬鹿。片瀬君もどうしてこの馬鹿に従ったんだ」

「だって大吾さんがたまには休め、って言いましたんで」

「…大吾さんが?」

「はい。私大吾さんと仲良いんですよーアドとか交換してますし」

「いつの間に…」

「まあそういうことなんで遊びましょ峯さん。これは大吾さんの命令ですよ」

「いくら大吾さんの命令と言っても俺は」

「さぁさぁ!」

「な、わ、解った!解ったから引っ張るな!」















「さて、今私と峯さんはバッティングセンターに来てます」

「お前は誰に向かって話してるんだ」

「てゆうか峯さん、なんでそんなヤクザオーラ全開スタイルで来ちゃったんですか」

「わざわざ着替えるのが面倒だっただけだ。真島の兄さんよりはマシだろう」

「あの人と比べちゃどんなヤクザでもマシですよ」

「ならつべこべ言うな。さっさと遊んで来い」

「え?」

「…なんだ」

「峯さんも遊びましょうよ」

「俺はいい。子供じゃあるまいしバッティングセンターで遊べるか」

「じゃあ何処がよかったんです?キャバ?パブ?ソープ?どれも私入れないですけど」

「…そういうことじゃない。こんな子供の遊び場で俺が遊べるかと言ってるんだ」

「峯さんまだ三十路越したばっかで若いじゃないですか」

「二十そこそこのお前に言われるとなんかむかつく」

「遊び場はみんなのもの。年齢関係無いです、はいバットどうぞ」

「……」

「なんですかそんな難しい顔して。野球嫌いですか?」

「…したことが無いんだ」

「…小学生の頃とか野球、しませんでした?」

「金が無くてな。バットもボールも買えない。貧乏人は仲間にも入れて貰えない」

「……」

「だから野球はしたことがない。ここへ来るのも正直嫌だったよ」

「なら、今日はしてみましょうよ」

「え?」

「峯さん運動神経はいいんですから野球くらいすぐ出来ますよ。私が教えてあげます」

「……」

「昔は昔、今は今。気にすることないです。私は峯さんが貧乏人でも成金でもどーでもいいですし」

「…変わった女だ」

「褒め言葉として受け取っておきます。さて、レッツプレイ!」















「……」

「結構楽しいものだな。また是非誘ってくれ」

「ヤです。峯さん最初の一球以外全部ホームラン打っちゃうんですもん、私つまらないです」

「お前偉そうにしてた割に五球に一球打てるか打てないかの確率だったな」

「峯さんの馬鹿」





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