ダビデの手に視界ジャックをされた。真っ暗で聴こえるのは波の音。夜中なのに蒸し暑い今時期は、着替えを何度もしなければならない。ダビデ、と小さく呼んでも返事はなく、変わりに後ろから抱き締められた。ぴったりくっついていたTシャツが今以上にくっつく。暑いけど、嫌じゃない。たぶん、ダビデだからなんだろうなぁ、なんて言ったらきっと顔を赤らめて怒るだろう。そんなダビデも好きだけど。


毎日テニス三昧でろくに私に構えなかったから、うみと夏休みの最後ぐらい一緒に過ごそうと海に呼び出された。落ち合ってからは特に何をするわけではなく二人でこのくそ暑い中くっついている。あぁ、うん、ばかっぷるなんだろうなって実感。顔を覗けば、表情は暗がりで読みとれないが微笑んでいるように見えた。

『ねぇ、』

裾をくいっと引っ張り声をかける。ん?と短く返事をしてあぁ、と自己解決をされた。なんだなんだ。

「花火、だろ」

『なぜわかった』

「前々から花火やりたいって騒いでたからな、たしか・・・」

おもむろに立ち上がり部室へと向かう。随分開放的な部室は完璧海の家だ。
自分のロッカーを開けて中から取り出した花火を私に投げ渡した。

「打ち上げはできないが手持ちならって、サエさんが」

目をそらして何処からか取り出したライターを何処からか取り出した蝋燭に着火させる。袋の中の花火をバラしてそこら辺に置いておく。柄つきの長い花火を手に取り、先っぽの紙をちぎった。

『こうやってちぎっておくと火が早くつきやすいんだよ』

どうでもいい豆知識を話ながらそっと、花火を蝋燭に近づけた。







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