07/31(Thu): キスして欲しい
■週末サボの家にお泊り。
日曜日の朝、大体サボは起きてこない。
先に起きて朝ごはん作ったりしてみるけど、全然起きてこない。だからいつも、お泊りの朝は痺れを切らして起こしに行く。
「ねえおはよ。……………おはよー。……………サーボってば」
片腕をぽーんと放り出して、非常に綺麗な顔で寝てらっしゃる。とても涼しげ。でも絶対起きない。
何度声をかけても駄目なので、横に座ってつつき始め、最終的に揺すったりとかしてみる。
「ねえねえ。起きてよ」
ため息とか付きながら、放り出された腕に勝手に頭を乗せてセルフ腕枕でサボを眺める。じーっと見てみるけど反応がないので、人差し指と中指で小人を作って肩とか腕とか腹を歩かせ始める。
「わー丘だー。丘を登るぞー」
ふんふん言いながら肘のあたりを指の小人さんが登っていく。
「うわー急斜面だー気をつけろー」
首に小人さんが落ちる。
実は最初から起きてるサボは笑いを誤魔化すためにうーんとか言うけど、まだ起きない。
「わー!なんて綺麗なんだ!金色の草原だー!らーんらんらら」
笑いそうなサボ、寝返りでバレるのを回避。
全然起きなくていよいよ退屈な女、指遊びをやめてセルフ腕枕のまま胸板に抱き着いてみる。
更に見上げてみる。
唇をすっごく見つめる。
触ったりとかしてみる。
全残起きてくれなくて、どんどんエスカレート。人形を抱きしめるみたいに頭を抱き締めてみる。
頭をふさふさヨシヨシしてみる。
全然起きない。
そろそろすねてくる。
唇の端っこにキスとは言い難い遊びのキスを始める。飼い犬が押し付けて遊んでるみたいな感じ。
そしたら突然ぐっと力が入る。
びっくりするけど、その反動をサボの全力ハグが抑える。
「っわ!!!びっくりした!!」
「おはよう」
すんごい目はぱっちり。
ニコーっとして、ずーっとぎゅうぎゅう。
そんな、
彼女がキスしてくれるまで起きない遊びを毎週楽しむサボ。
■ビスト○的なTVを見てる四人。
「いーなー。私もゲストになりたい。美味しい物オーダーしたい」
「なんだよ、お前いつもオーダー側じゃねぇか」
「えー。だって美味しいけどエース炒飯ばっかだもん」
「俺も作っただろ!」
「あー。うん。肉を焼いたね。焼いてくれただけね」
俺が作るのが一番美味い!とか、
いーや俺の炒飯が世界一うめぇ!とか言ってバトってるエースルフィ。
「…って事ですサボ。私サボ兄さんの絶品料理食べたいです」
「えー。凄く疲れてるんだけど。俺が作って欲しいくらいだ」
ふとTVを見たら勝敗シーン。
ゲストの女優が勝者にキスしてる。
「………まあ。エースもルフィも俺の腕には敵わないだろうけど」
「なんだと!俺は言っとくけど肉のプロだからな!」
「よし。俺の炒飯の底力見せてやる」
ビストロ対決始まる。
椅子を一つ。女を座らせる。
「ほら。言いたかったんだろ」
「うっふー!やったー!いくよ?
''オーダー!私が喜ぶ凄く美味しいやつー''」
それぞれちゃかちゃか作り出す。
戦場のキッチン。
その片隅でちゃちゃーっと生地からシンプルピザ作っちゃう素敵サボ。
実食。
当然、イタリアン好きと知っていたサボの勝ち。
「うーんとね。勝者……………サボー!!!!」
「ほら。勝者には勝者の証だろ」
「んー?あぁ、ほっぺちゅーね。おっけー」
頬に唇を寄せたら振り向く。
「ご馳走」
ルフィ、料理にがっつき中。
エース、料理に突っ伏し中。
サボ、腹に一発くらっても超ニッコニコ。
とても満足気。
■切な系+キスして欲しいサボ
別れたエースを諦め切れない女を好きなサボ。励ましたりするうちに何となく寝ちゃったりした関係。
サボが遠方へ行く事が決まり、最後に見送りに来た女と2人、夜の無人駅ホーム
「一緒には行けないよ」
「知ってる」
発車の音。
じゃあね、と、
笑って手を振る女の手を思わず掴む。
「なあ、最後に…ダメかな」
急かすように響く、明らかに二人へ向けられたアナウンス。 夕暮れと夜の間の風に吹かれて揺れる女。掴まれたままの手をそのままに、反対の手でサボの頬をひと撫でして背伸びでキス。
唇が離れ、さよならも思いも言えず、互いに笑顔作る。
車内に入り、閉まる扉。
笑えなくなった2人は何とも言えない顔で見詰めあったまま離れていく。
眺めた電車が踏切を超えた頃、ホームに崩れる女。
見つめ続けた女が見えなくなった頃、俯いて拳を握り締めるサボ。