「香菜も馬鹿よねー、あんな器量良し振るなんてさ」
「悪いとこなんてちょっと目ぇ瞑ればいいのに」

なんてことを言う友人たちだろう。


「ちょっとって、あれのどこがちょっとなの」
「だって…ねえ」
「顔いいし親切だし…そのうちのちょっとなんて」

友人二人が顔を見合わせて言った。

「「ストーカーなだけでしょ」」
「だからそれが一番由々しき問題ィ!!」

分かってない。
鳳くんの変態度が。
彼はまさにストーキングの申し子、今だってきっと…、

「東峰さん!今日も相変わらずかわいいですね!」

ほら出た。
しかも背後から、音もなく。

「気配を消して近づくことのどこが普通なんだ!!」
「ヴッ」

勢いよく腕を振り回し、鳳くんに裏拳をかました。
案の定効いたようで、鳳くんは数歩後ずさる。

「ふふふ…相変わらず愛が痛いほど伝わってきますよ東峰さん…!」
「そりゃ痛くしてるから痛いでしょうよ。あと愛じゃなくて嫌悪な」
「愛情の裏返しですか東峰さん」
「だから嫌悪だってば聞いてんのか」

聞いてないですよねえ。
鳳くんだもの。

「…もしかして」
「?」

鳳くんが首を傾げて私に尋ねる。


「僕のこと嫌いですか?」
「いやむしろ何で好かれてると思ってたんですか」


キミの頭はくるくるパーか。
すっからかんか。

「そんな…!あのテスト前の微笑みは何だったんですか!?」
「作り笑いと言う名の常套手段だよ!!」

お馬鹿さんかおのれは!!
つい叫ぶが、どうやら鳳くんの耳には入っていないようだ。

「くっ…!じゃあ僕は今、貴女の眼中にもない存在なんですね…!」
「いや目には入るよ嫌でも入ってくるでしょキミ」
「僕…東峰さんに認められるよう、これまで以上に頑張ります!」
「頑張るな変態!」

鳳くんのアゴにアッパーを食らわせて、私はその場を去る。


後ろからついてくる友人が、「ごめん、あたしらが間違ってたわ」と言った。
そうでしょうとも。



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