私は氷帝生でありながら、お金持ちとは世辞にも言えない一般人だ。
氷帝生みんながお金持ちと言うわけではないが、多分私は場違いな身分。
私服はバーゲンかフリマ、お小遣い稼ぎに新聞配達。
やりたいこともないので帰宅部。
母親は海外赴任、父親は単身赴任。
この赴任率である。
故に、一人暮らし。
世間一般から見れば、私の家庭は少し物足りない。


だけれど、私にとっては満ち足りた世界だった。


孤独のヒロインなんて不似合いすぎるし、規則正しい生活が好きだし、何より働いてお小遣いの貰える充実感。
両親からは「働いたうちに入るか」と窘められたけれど、中学生なんだから別にいいじゃないか。
高等部に入ったら、バイトしようか。


彼氏なんて青春はないけれど、劇的な友情物語もないけれど、この平凡が幸せでたまらなかった。



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