残暑は通りすぎて、夏休み気分も抜けてきた。
私は今日も新聞配達のため、早起き早起き。


「おはよう能勢川」
「あ、おはよう。跡部くん」

毎日そこで待っている彼は、すごいと思う。
もう互いに日課なのだろう。

「お前はいつも早いな…体壊しても知らねえぞ」
「早くに寝るから大丈夫ですよ。ていうか、それは跡部くんも同じだと…」
「あーん?俺様がそんなことで倒れるわけないだろ?」
「そ、それもそうですね…」

妙に納得してしまった。


「仲良しなんじゃな」
「そうなんですか、これって」
「どう考えても仲良しじゃろ」

氷帝近くの公園で話し込む私と、相手はなんと仁王さん。

何故かきこきことブランコをこいでいたので話しかけると、「会いに来た」と微笑まれたのだ。

そんなこんなで仁王さんに今朝の話をしたら、衝撃の事実。
私と跡部くんって仲良しだったんだ…。

「むしろそれ以外、どういう関係築いとるんぜよ?」
「えっ、は、早起き同盟?」
「なんじゃそら」

仁王さんは苦笑して、私の頭を撫でる。
仁王さんって、よく私の頭撫でるなあ…。

「仁王さん」
「あー、それだめじゃ」
「え?」
「呼び名。お前さんは他人行儀すぎぜよ」

そんなことを言われても。
…えーと、あれかな、丸井さんが私を甘露飴さんって呼ぶ感じのがいいのかな。
私が困っていると、仁王さんはにまりと笑って言った。

「まーくんって呼びんしゃい」
「………えっ」
「ん。何じゃその反応は。」
「いえ…想像の斜め上を…行ったので…」


まっ、ま、まーくん!?


どうしてその結論になったのか!

「嫌かのー」
「嫌っていうか、えっ、あの、ま、まーくん?ですか?」
「おっ、そうそう、そんな感じじゃ」
「……」

彼は本気でした。

「どうしてまた、まーくんなんですか」
「いーじゃろ?まーくん。可愛くて」

なんとかわいさをお求めだった。
いや、構わないけども。

「……で、では」
「うん」
「………まーくん、」
「ピヨッ」

謎の感嘆詞と共に笑った仁王さんは、とてもかわいらしかった。


そしていざ真面目に呼ぶと恥ずかしかった。



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