夏がもう終わる。
楽しいときはすぐ過ぎてしまう。
神奈川の夏祭りの翌日、しみじみ思った。
「能勢川!!宿題手伝ってええええ!!」
「俺お前とは初対面だけど俺のも手伝ってええええ!!」
過ぎていくことを忘れたあとに振り向けば、宿題がそこにある。
家に押し掛けてきたのは、芥川くんと…、
「俺も来ちまったけど、いいのかジロー」
「だいじょーぶ、能勢川やさCから」
なんと向日くん。
「なあ能勢川、俺も宿題手伝ってほしーんだけど…」
「もちろんいいよ」
いいのだけど。
まさか芥川くんのみならず向日くんとも話す日が来るなんて。
まあ特に問題ないし、とりあえず宿題を手伝おう。
「ちなみに二人とも、出来てないのはどれなの?」
「「ワーク」」
「…そっか……」
ハモリで伝えられた答えになんだか脱力した。
毎日何かしらごたごたしていたから、久々の平凡的なひとときにそうなったのかもしれない。
「じゃあ出来てないページ出してね」
「俺ここー」
「あ!そこ俺もだC!」
まさかの3ページ目から。
君たち…ほんとに夏休み何をしていたの…?
「えっと…じゃあこつこつ解いていこうか」
「「はーい!」」
元気がいい。ついでにふたりの仲もいい。
二度もハモるだなんてよっぽどだ。
「能勢川ー!ここわかんねー!」
「あ、俺もだC!」
「あーそこは…」
二人とも頑張って自分の力で解ききり、ワークとの戦いは幕を閉じた。
…もうすぐ、秋がやって来る。