何故か現れた跡部くん。
わけがわからないよ。
そんな私の驚愕を物ともせず、跡部くんは家計簿を眺めている。
…そんなしげしげ見るものじゃないぞ跡部くん。
「ノート代差し引き…収入?なんだこりゃ」
「うわっ読まないでください」
私は勢いよくそれを閉じ、急いで鞄に詰めた。
首を傾げている跡部くんが私に言う。
「この俺様に隠しごとか?」
ちゃんと見せろ、と鞄を奪おうとする跡部くん。
必死に鞄を腕の中へ閉じ込める私。
いや、そりゃあ隠しごとのひとつやふたつあるでしょう。
だって親しい友達でもないのに。
むしろあって当然だと思う。
「さあ見せてみろ」
なのに跡部くんったら横暴だ。
ため息をついた、その時。
私は跡部くんに、鞄を奪われてしまった。
にやりと笑った跡部くんは、早速鞄の中の家計簿を探し始める。
こ、この…我が侭っ子ときたら!
「跡部くん!めっ!!」
私はそう叱り、怯んだ跡部くんの手から鞄を奪い返し、教室の外へ逃げ出した。
やばい、勢いで「めっ」なんて言っちゃった。
恥ずかしい。