燃え尽きたぜ。
ああ、完全燃焼さ。

悪夢なるテストを終え、私は机にうなだれた。
クラスのみんなは、嬉々として部活に向かっている。
部活、部活ね。
私も何か入ればよかったかな。
まあ、家事の時間削るわけにもいかないし。
クラスメートを横目に、私も帰ろうと教室から出た。


下駄箱に向かう途中、跡部くんが前方から歩いてきた。
学校内で会ったのは、久し振りな気がする。
案の定こちらに気づいた跡部くんは、私に声をかけた。

「よう」
「えと、どうも…」
「あーん?能勢川お前、部活はどうした?」
「入ってませんよ」

素直にそう言えば、驚きの表情になる跡部くん。

「お前学校生活の半分損してるんじゃねーの」

ひどい言われようだ。
…まあ青春が足りないと思うこともあるが。

「…それなりに充実させてるつもりではあるんですけども…」
「馬鹿か」

自信なさげな私の呟きには、短い罵倒が返ってきた。
何だろう、この物悲しさ。

「馬鹿なお前の為に、俺様がお前をテニス部マネージャーにしてやってもいいぜ?」
「わ、わお、いい考えですねー」

顔がひきつるのが分かった。
お誘いは嬉しいが、跡部くん率いるテニス部は今や女子の憧れの的。
後が怖くて、OKなんて出せない。
乗り気な跡部くんには悪いが、天秤はこれからの学校生活と家事に傾いている。
お断りしよう。

「あの、跡部くん。悪いんですけど…」
「よし、そうと決まれば見学だ。ついてこい能勢川」
「えっ?」

どうと決まってそうなった。
独り合点している跡部くんが、私の腕を引く。
何ら鍛えていない私は踏みとどまれず、跡部くんに引きずられる形でテニスコートに向かった。



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