「……」

通学路も残すところあと少し、というところだった。


近くの茂みで、木々で雨を凌ぎつつ眠る芥川慈郎くんを発見したのは。


といっても、私は彼のことを名前くらいしか知らないし、彼もそれは同じだろう。
宍戸くんと一緒にいる彼しか見たことがなかったんだから。
起こす、なんていうのはお節介だろうか。
…しかし彼の服に雨水が滴っているのを見ると、なんとも。
凌ぎきれてないですよ芥川くん。
だけど起こしてしまうのは、悪い気もする!

「ゆ、ゆっくりおやすみくださいませー」

私は結局、さしていた傘を彼が濡れないよう置いて走った。
幸い学校まで近かったため、そう濡れずに済んだ。


特に高級でもないコンビニ傘なので、よくないが別にいいのだ。
天気予報も昼からは雨も止むと言っていたし、平気だろう。
芥川くん、是非安眠したまえ。



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