その晩、私はぬれせんべいを食しながら新聞を確認した。
確かに、いつもは昔の詩を紹介しているスペースに、私らしき人を謳った詩があった。
私はすぐさま問い合わせ、どういうことか尋ねる。
しかし返ってきた言葉は、実にシンプルだった。
『働き者の学生が珍しいから』
珍しかったら書いちゃうのか。
どうした新聞社。
良かれと思って書いたのかもしれないけど全くよくないよ。
何せあの跡部くんの目に止まってしまったんだから。
「…ううう」
電話を切り、唸る私。
しかし載ってしまった記事は取り返しもつくまい、無駄に悩むのはよそう。
きっと誰も、詩の本人なんて興味ないよ。
跡部くんも、そのうちすぐ忘れる。
「…ぃよし」
明日も配達頑張ろう。