氷帝学園の入学式は、それは色んな意味で大変だった。
新入生代表の人があの宮殿家宅の人で、テニス部に喧嘩を売ったのだから。
その事で何やらテニスコートの方で騒ぎが起こっているそうだけど、大事には関わらない主義だ。


避けて通ると、前方から男子が三人。
そのうちの一人は、私の配っている会社の新聞が好きだという宍戸くんだった。
彼とは幼稚舎の頃、何度か同じクラスになったものだ。
相変わらず素敵なキューティクル。

「よう、能勢川」
「お早う、宍戸くん」

彼もこちらに気づき、挨拶をしてくれる。
彼は取っつきやすい。
しかし同じクラスになっていたといえど、標準的に話ができる顔見知りと言ったところか。
私たち二人の挨拶はその程度で終わり、それぞれ歩き出した。
両隣に芥川くんと向日くんを連れた彼は、テニスコートを見に行く気なのだろうか。



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テーマ「人外ファンタジー」
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