デモーニオと音無
「歌ってくれないか」
デモーニオさんは唐突にそう言った。私が「歌…ですか…」と返すとデモーニオさんは立ち上がり目が見えていないことを忘れさせるようなきちんとした足取りで私の目の前までくると私の唇に人差し指をあてた。
「俺は、君のその美しい声が好きなんだ」
そう言ってデモーニオさんは笑った。もう写す事のない私をしっかりとその赤い目に写して。そんなデモーニオさんに駄目だとわかっていても溢れだした涙が止まらず、酷い鼻声で必死に歌う事しか今の私には出来なかった。


マークと木野
彼女の笑顔はどんな女性よりも輝いていて綺麗だった。でも彼女が時折見せる寂しそうな顔も、また綺麗だった。
「アキはカズヤが好きなのか」
そう言うと彼女は少し困ったようにふふと笑った。その笑顔に俺は触れる事さえ許されない。そんな悔しさから彼女を床に押し倒し上に馬乗りになる。すると彼女は嫌な顔一つしないで笑った。
彼女の笑顔はとても綺麗であったが、胸が締め付けられた。



エドガーと久遠
「だいっきらいです」
そういわれたのは、冬花さんに告白した日のことだ。冬花さんは私の好きな綺麗な笑顔でそう言った。女性にそんな事を言われた事のない私はどうしようもない虚無感とショックに襲われ思わずその場に膝まずく。
「無様ですね」
カラカラと鈴を鳴らしたかのように笑い、そう言いった冬花さんは悔しいがあまりにも美しくて、私は彼女を追う事を辞めることは出来なかった。



ロココと雷門
イナズマジャパンに帰るわ、私がそう言うとロココは眉を潜め悲しそうに私を見つめた。そんな目でみないでよ。
「ねぇ、ナツミ」
ふと名前を呼ばれたと思うと引き寄せられる。ロココのユニフォームは円堂くんのユニフォームの臭いと似ていた。
「俺達が勝ったら、マモルじゃなくて俺を選んでよ」
ロココは私の耳元でそう囁く、急速に速度を上げる心音に思考は停止し私はロココに返事が出来る筈もなかった。




エド冬が酷い。
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