「私は君と過ごせて幸せだったよ」
庭に咲く色とりどりの草花を真剣に見つめながらキャンパスに油絵の具つけた筆を動かす風介が不意にがそう呟いた。
そよりと吹く風にのって、油絵の具の匂いが鼻を突いた。風介は昔から絵を描くのが好きで、この匂いもかぎなれたものだった。
風介と俺以外誰もいないおひさま園の庭は、いつもより大きく見えた。
「何で過去形何だよ」
「明日からは、君に会えなくなるからね」
「ああ…」
「この絵も今日中に完成させなきゃいけない」
明日から、俺達の世界は365度逆方向に回り出す。名前も変わって、いる場所も変わる。
そして少しずつ世界は崩れ出していく。
不思議と悲しいとは思わなかった。
チュンチュンと雀の囀ずりをBGMに、目を閉じる。
まるで明日で地球が滅んでしまうような錯覚に襲わる。
一つだけ、思うとしたら風介をガゼルと呼ばなければいけない違和感だけを思っていた。
「好きだ、風介」
違和感と言う名の寂しさを抱いて、俺は明日を生きていく。



涼野と南雲
title カカリア
BGM The Forgotten Song/初音ミク


バンガゼの日おめでとう!




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