闇落ち風丸



長い長い人生の中の、ほんの数時間でいいから円堂と愛し合いたかった。

円堂から告白されたのはジェネシスがやってくる、ほんの数時間前の事だった。俺は、柄にもなく幸せだったんだ。14年と言うまだまだ短い人生の中で一番。

人には誰でも幸せになる権利があるとブラウン管の向こうの誰かが言ったような気がするけど、そんなもの偽善者の戯言だ。
俺には円堂と幸せになる権利は残念ながら当たらなかったようです、残念無念また挑戦して下さい。あーあ俺ってついてないなぁ。
最初から円堂の隣にいたのは俺なのに、何年我慢したと思ってるんだ。
いつの間にか豪炎寺や鬼道に円堂の隣を奪われた。実に不憫だと誰か笑ってくれ。

剣崎と名乗る男から渡された、新しいユニフォームに袖を通す。肌に貼り付く感じが気に入らなかった。
気持ちが悪い。


円堂と何がしたかったって?
そりゃデートもしたかったしキスもしたかった、ハグもしたかったしセックスだってしたかったよ。
よくある小説みたいにさ、ある日次の地球が無くなるとかあったら円堂と一緒に過ごしたかったなぁ。

青紫に光る石を首から下げて、屈伸を一つと深呼吸を一つする。
身体中を力が犯していく。筋肉が軋む音がした。
そして扉をわざと音を立てて開けた。
すると気持ちが悪い笑みを貼り付けた剣崎と、仲間が立っていた。

ああ愛してるよ円堂!どれくらい?恥ずかしいから言わせんな…!もし俺がお前の好きな風丸に戻れたら結婚しようぜ!まぁあり得ないだろうけど!!


「貴方達には力を与えたのです。必ず雷門中に勝ちなさい。」
こくりと頷き髪の毛をほどく。ばさりと髪の毛が落ちた。
感情のない、無機質な表情の仲間を連れて歩き出す。
青く澄んでいる筈の青空が、酷く淀んで見えた。



神様そこにいるなら聞いてくれ!俺は今から円堂に嫌われるんだ!羨ましいだろ!!




(円堂)と風丸

title にやり
よくわからない、変なのかいてすいません



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