目が覚めると、まだ周りは暗かった。
特に起き上がる事もせず、寝返りを打つと自分と同じくらいの背中。
規則的に上下する背中を見てまだ寝てる事がわかる。
どうしてコイツが俺とこんな、恋人何て言う関係にあるのかが未だにちゃんと理解出来ていない。
好きな人に見捨てられるのが怖くて、裏切られるのが怖くて、人のどろどろとした汚い感情が怖くて。
なるべく人との関わりを持たないで生きてきた。
何故俺がコイツを受け入れてしまったのかも分からない。
一人がいい、そう望む思考とは逆に誰かと生きたいと言う感じた事の無い人間臭い感情が全身を犯していく。気味が悪い。
やはり俺もそこらにいる「一人じゃいけていけない」と嘆く馬鹿と同じ何だろうかきっとそうだ。
いつ、俺はこの男に裏切られるのだろうか。

そう思うと息をするのも苦しくて、背を向けて寝ているコイツのシャツをほんの少し、爪と爪で挟むだけのように掴んだ。
「ゆう、と」
いつの間にか止めどなく目から溢れている水滴は重量に従い落ちていき、シーツをぬらした。
もう最悪だ。コイツのせいで俺は只の馬鹿な人間になっていく。
「…不動…?」
ふと声が聞こえる。出来るだけ声を出さないようにしていたのに気付かれてしまったようだ。
こちらへ顔を向ける為に寝返りを打つ、眠いのかちゃんと空いてない目と目がぱちりと合った。
「こっち、見んな…」
そう言って背を向けるように寝返りを打とうとするとコイツの腕によってそれは阻止される。
いつの間にか腰に手が回っていて、
「大丈夫だ、不動」
「はぁ…?」
「俺は、お前が好きだから」
アイツは、鬼道は、その形の良い唇で安い言葉を言う。
そんな安い言葉でさえも俺は安心してしまい、鬼道の胸に顔を埋めて泣くしかなかない。
いつの間にかこんなにも俺は鬼道を欲していた。




鬼道と不動





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -