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「#幼馴染」のBL小説を読む
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怪観察
太陽の価値 2/2

 人間の友達とカフェで話しこむナマエを、Eランクのウスラカゲ一同で眺めていたのだという。
 あまりにも朗らかに、楽しそうに笑うものだから、あの人はまるで太陽ではないかと話していたそうだ。
「そんな、大げさな……私、普通の人間ですけど」
 困ったように笑うナマエに、カゲローはふるふると首を振る。
 いつも笑っているわけではないところも好印象だったらしい。まあ、いつでも笑っている人間の方が稀なのだが、彼らにとってナマエは、陰陽を併せ持った眩しい存在だったのだ。
「陰だらけの拙者たちとは大違い……ナマエ殿、お主の生き生きとした姿、いつも見守っており申した」
「妖怪ウォッチで出会えたのも何かの縁ってこと?」
「然様でござる」
 カゲローも聞かれるまで答えられなかったが、ウスラカゲばかりが寄ってくる理由が分かった気がする。
 ウスラカゲ族にとって心地よい明るさを持った人間だったのだろう。
「できることなら、これからもナマエ殿を見守っていたいでござる」
 真剣な様子でナマエに巻きついてくるカゲローに、ナマエは笑った。くすぐったそうな笑みだった。
「じゃあ、妖怪ウォッチのランクを上げなくてもいいや」
「……拙者たちが、いるから?」
「そう! 私のこと、太陽だとか言っちゃう大げさな友達がいるので充分!」
 利き腕とは逆の腕につけられたウォッチがひときわ輝いて見える。
 ナマエはカゲローの薄い体をぎゅうと抱きしめて、一言告げた。
「こんなに眩しくない太陽も珍しいでしょ?」
 抱きしめられたカゲローが、若干、頬を赤らめている。
「……ま、眩しくないからこそ、我々は共にあれるのでござるよ」
 ひゅうひゅうと囃された。
 やめろ、からかうな、と声を荒らげるカゲローに、ナマエも笑う。
 人間、いついかなる時にどのような部分が評価されるかなど、分からないものである。

太陽の価値