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ろづ
過ぎたるはなお 2/2

 そんなフェチズムの対象から、メンテナンスをしてみるか、と問われたのは、師である教授が騒がしい二人を連れてアジトから出たときだった。確かバトロボの調査という名目で。
「い、いいの?」
 昔から憧れていた天馬のバトロボと二人きりになった高揚感と、内部の構造を見られるかも知れない胸の高鳴りがナマエの中で渦を巻く。ギンザンは視線をそらし、小さく頷くだけだった。
「でも、私、メカニックとしては半人前だし……」
「ダイクーンの技術を見て学べばよかろう」
「そうだけど、でも……小さい頃から大好きだったギンザンの中身を見られるなんて!」
「ダイクーンから聞いていた通りの変人だな、貴様は」
 どうやらあのプロフェッサー、弟子の性癖を暴露済みだった様子。息を詰まらせて固まるナマエに肩を竦めたギンザンは、見るのなら早くしろ、と短く告げてきた。
 ナマエの手が震える。
 胸部のハッチを開ければ、憧れの彼の内部構造があらわに。
 胸の高鳴りが押さえられない。
 そして同時に、不安が脳裏をよぎった。
「……やっぱり、いい」
「いいのか? 俺のことが好きなのだろう?」
「そ、そういう事を真顔で言わないで! だって、私メンテナンスを任せてもらえるほどの腕前なんて、ないし! それに!」
「……それに?」
「どうせなら、先生に認めてもらってから、堂々とギンザンの内部構造を学習したい」
 変にいじって動けなくさせては申し訳ない。ずっと憧れてきた彼に見合うだけの腕をもってしてメンテナンスとは行われるものなのだ。ナマエは拳を握って力説した後、若干呆れた目つきで此方を見てくるギンザンと目を合わせた。
 目を閉じられた。
「貴様は昔からそうだ」
「……え?」
「俺ばかりを特別扱いする」
「特別だもん」
「俺の中身を見て知るがいい。俺は一バトロボに過ぎぬ、何も特別なところなどない存在だという事を。貴様と同じく俺もまた凡愚」
「……どういう事?」
 俺もまた凡愚、とナマエまで凡愚扱いされたが、そこはどうでもいいとして。
 自分を貶すようなことを口にしたギンザンに首を傾げれば、ギンザンはこれ見よがしにため息をついてナマエの頭を鷲掴みにする。慌てふためくナマエなど意に介さない様子で、彼は言い放った。

「気づかんとでも思ったか。貴様の視線にメカニックだけではない熱が篭っていたことに」

 だからこそ俺のメンテナンスをしてみろといっている。ギンザンは高圧的に言った。
 大きく瞬きを繰り返し、ナマエからの感情に気づいていたという彼を見たナマエの口元がわなわなと震えだす。
 それに答える彼もまた凡愚。つまり。
「ギ、ギンザン! あの、ぜひ、メンテナンスを……」
「回線一つでも傷をつけたら承知せんぞ、半人前」
「は、はい!」
 フェチズムが過ぎる。ギンザン本人からも言われ、ナマエは大きく苦笑いをした。