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桃色保険医は味方ですよの巻(桃桃桃子)

「ね〜ぇ」
 次々と嫌味を繰り出すパウエルに話しかける、ピンク色の女がいた。
 学園にいる保険医の一人である、その名も桃桃桃子だった。
「何だ、今は取り込み中で……」
「あなたの事情なんか知った事じゃないのよ、私は」
 いかにも周囲を見下しているような振る舞いをするパウエルをぴしゃりと拒絶し、工口保険医と名高い桃桃は言う。
「人を見下すのは結構なんだけど、あなたはそこまで完璧で、人間として優秀だったかしら?」
「何を言っている」
 桃桃は桜花先生を庇うように立った。
 パウエルの視線から彼女を守る為、パウエルにずんずんと接近していく。
「彼女、いないじゃない。人間として、子孫を残せないっていうのはね、致命的な欠陥なのよ?」
「それは私でなくとも共通している筈だ、馬鹿馬鹿しい!」
「ん〜ん、あなたが断トツなの」
 桃桃は、妄想科を気に入っていた。
 自由な学園の中、創設された妄想科。桜花先生と生徒たちの距離が心地好いこのクラスは、(主にその変態性から)生徒と触れ合えない桃桃にとって羨ましいものだった。
「この学園は自由なのよ」
 パウエルは桃桃を見下したように眺めていた。
「何をしても、どんなクラスを作っても自由なの。そんな事も分からずに、得意そうな顔して嫌味並べてるんだから、あなたも程度が知れるわねぇ」
「黙れ、学園の害め。保険医として問題があるお前に何を言われた所で……」
「そう。害なのよ。私もあなたも。ここが普通の学園だったらね、要らないって捨てられてるような人間なの。お互いに」
「何を馬鹿な」
「だってそうじゃない?こうして相手を見下して罵るような教師達が、生徒にとって本当に必要なのかしら?」
 桃桃は、無駄に谷間を強調した。
 何故だ。
「桜花先生を見てご覧なさいよ。生徒には慕われて、誰を罵るでもないわ。私達より遥かに人間として出来ているでしょ。それを嬉しそうに見下してるあなたって面白いわね、見下させて頂いてるって自覚がないんだから本当に面白いわ」
 徹底抗戦の構えである。
 この脳内どピンク保険医は、桜花先生や妄想科を守ろうと立ち上がったのだ。
 しっし、と追い払うように手を動かし、パウエルを冷ややかに見つめた後、桃桃は本性を表した。
「いや〜ん、桜花先生ったら、困った事があったら私を呼んでね、いつでも味方するわ〜っ!」
 無駄に発育した胸を桜花先生の顔に押し付け、窒息させつつ抱きつく変態保険医。
 妄想科、愛してるわー!と桜花先生を抱き締め続ける桃桃は、先生を苛めちゃ駄目!と妄想科の生徒達によって引き剥がされたとか何とか。

 とある変態の話。
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