×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
暴走チャルメラの怪(妖:釘三姉妹)

 ラーメンの屋台が疾走する。壁を走り空中を走り地中を走り水面を走り、しかしスープも麺も零す事なく、そして汚れる事なく爆走を続ける『釘三寸』。
 三つ子の末っ子であるデュンケルが力任せに引っ張り行く当てもなく学園内を走り続ける屋台は、時折立ち止まり、運の良い客に食事を振舞う。
 あらゆる意味で採算度外視の出し物なのだった。
「どけどけぇ!! ひき殺すぞゴラァ!!」
 屋台を引っ張る速度を緩める事なく三女が喚く。
「お客さん殺してどうするのよ馬鹿!」
 屋台に乗せられ吹っ飛ぶ景色に唖然としながら次女が突っ込む。
「石焼ぁ〜き芋ぉ〜」
 ぼっそ〜、と趣旨違いな掛け声を上げながら屋台の中心に座っている長女。
 バラバラ過ぎて逆にまとまっているように見える三つ子の悪魔が廊下を、壁を、空を大爆走していった。
 ラーメン一杯三百円。屋台を呼び出すのに便利な呼び鈴が売店で売られているが、その価格は千円。
 明らかに自然遭遇の方が安く済むが、自然遭遇は至極難しいのであった。
 だってすげぇ暴走してるし。

 国原いわく、三人四人で割り勘して呼び鈴を買い求め、グループ単位で使いまわした方がお得だそうです。

 お客さん、お待ちしております。
「どけどけヒャッハァー!!」
 三女、お前、止まれ。
 
top