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電波な芥川が鏡に入る話(妄:芥川)

「ブルーの王国へいってきます」
「はいはい、いってらっしゃい」
 スルーに近い形で見送られ、芥川茶川は教室から出て行った。廊下に取り付けてある鏡に体を突っ込み、そのまま鏡の中の世界を歩き回るが、妄想科の皆は各自やりたい事をしていて芥川を見ていなかったし、通りすがりの生徒達は、ああ目の錯覚目の錯覚、と呟いて現実逃避をしたので、問題にはならなかった。
 きらきらと輝く道を通り、木製の扉に手をかける。
 扉を開けると、そこは見知らぬ町だった。
 住人は誰もいない、不思議な空間。
 空の色は青。
 標識には『西隣町:緑』『東隣町:藍色』という二つの指示があるように、東西に長い一つの区画であるようだった。


「紫色の空で赤い戦人(いくさびと)を見たんだよね、メラリッサ」

 頭の上に乗っている鳩に話しかける芥川は、時間が流れない不思議空間をのんびりと歩き始めた。
「リングバードの紅茶はクラッシュレモンがよく合うね」
 意味不明な紅茶について話しながら。

 ようこそ、精神世界へ。
 
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