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黒イ獣タァ俺ノ事ヨ(黒い獣/国原文)

 国原は中で怒鳴る弟を外に出すまいと蹲っていた。昔と同じ光景に涙が出そうだったので、歯を食いしばった。
 何故だろう。普通科は別の棟にあるのに、何故此処にきたのだろう。
 石を投げてくるのは肝試しにと人気のない場所をこそこそと歩いていた、見知らぬ生徒たち。
 自分は確か、ゴミの分別をしていただけだ。
 アルミとスチールを分けるために電気を使って、磁力で仕分けて。
 そうしたら……。



『ヨォヨォ面白ェ事シテンジャネェカ?』



 国原を見て恐れた学生たちの後ろを、誰かが陣取った。
 プライバシー保護のため声を変えております、の高い声と低い声が同時に出ているその誰かは、光を纏っていた。
 学生たちの動きが止まる。黒い何者かはそんな生徒たちをジロジロと眺める。
 真っ黒な獣には目と口が見えたが、それだけだった。ハロウィンのカボチャのように其処だけしか目立たない程黒かった。
『人間ハ嫌イダネ』
 吐き捨てるように獣が言う。
 瞬間、閃光が辺りを襲った。吹き飛ぶ石ころ鉄くずポリバケツ。中心地にいた生徒たちは腕や足を焦がして呻いている。
 国原と十六夜がそれを見て言葉を失い、気も失った直後、獣は理性をかなぐり捨てるのだった。

『イッヒッヒッヒャッハァーッ!!』

 苦しみに悶える学生たちを見て馬鹿笑いする獣が学園の壁を蹴って屋上へ飛び上がる。屋上を更に蹴って空へ飛び、大笑いして森の中を走っていった。
 ゴミ捨て場は爆発でもあったかのように焦げている。壁は抉れて地面は掘れて窓枠はひしゃげている。
 黒い獣が突然の暴走をしだした最初の現場に、国原と十六夜の姿は見当たらなかった。獣が連れていってしまった。
 笑う獣が。
『アッヒャッヒャッヒャヒャヒャヒャァァ!!』
 
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