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ちょっと前の事(国原文)

 回廊のリジェクトを倒し、体育館倉庫を出、ハートに遊ばれ、廊下を疾走する。
 リジェクトは、あいつらが死ぬ、と言っていた。ボコりあったボルト、マリーン、アートという構成員も含めて計四人の元回廊が学園にいる事になる。
 雑魚と思われるトランプ兵はわらわら居るが、大した危険にはならないだろう。
 今この学園に、敵と呼べる敵はいないように思えた。
 ふらりと窓の外を飛ぶ緑の影に気づき、十六夜は変身を解除する。直ぐに相方と交代し、窓を開けた。
「……やあ」
 声をかければ、腹の目玉をにたりと歪ませたクローバーが国原に近づく。青い腕が首筋に絡みつくのを、国原は振りほどかなかった。
「悪いね、態々呼んできて貰って」
 呼吸を整えながら、クローバーの頭を撫でる。このクローバーは回廊の気配を追った。病院の窓を覗き込み、雷の使い手を呼び、学園まで案内し、その使い手とは猫耳帽子の女の子の元で別れた。

 全ては、現主人である国原の命による。


 変なものに好かれる国原は、赤スライムにうぞるうぞると擦り寄られ、コンドル・バウモに気に入られ、そしてクローバーに懐かれていた。
「おや、皆いるね? 冠橋さん、いた?」
 問いかけるが、クローバーは首を横に振る。コンドル・バウモも、その背に乗せられている赤スライムも、あまり良い反応はしなかった。
「そうかい」
 騒動の間に飼いならす事を成功させていたシュールな電気女は、外に控えるモンスター軍(全三名)に答えると、そのまま窓から飛び出す。
 何処をどう走っているかも分からなくなっていたが、どうやら此処は三階らしかった。落下する国原を、コンドル・バウモが下から迎えに来る。
 茶色とも灰色ともつかない翼が風を押し、巨大な影が上空へ躍り出た。
「一度、南側にある工房へ行こうか。あそこで休憩しよう」
 ボスの指令に、コンドルが鳴き声をあげる。
 一旦休憩。後に再捜索。の、予定。

 変なもので構成されたパーティーが空を行く。
 
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