×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
ピ○チュウ仮面が現れた!(国原文)

「ぴっかぁ」
「でかいなピカ○ュウ!!」
 弾米君の元にやって来たとたん、これだ。
 鳴き声をまねる国原に勢いよく突っ込む弾米君は、クッションとぬいぐるみを抱えた偽チュウに困ったような声で問いかけた。
「なんか、祭り満喫してんのは分かるけど……袋とか貰ってこなかったのかよ」
「ぴっぴかちゃー」
「だから○カチュウでけえって!等身大でさえもっと小さいから!」
「えへへ」
 お面を頭の方へずらし、国原が小さく笑う。
 ショルダーバッグにクッションの方を詰め込むと、灰色のうさぎを抱きなおして弾米君に向き直った。
「弾米君といると、面白いよ」
「え?そうか?」
 夕日色のバイザーが、祭りの証明を受けて赤にも桃色にも紫にも輝く。弾米君がバイザーをつまみ、整えるのを、国原は微笑みながら見ていた。
「一緒にさ、お祭り、見て回ろうよ」
 ぼそりと誘う。
 抱いたうさぎのぬいぐるみの手を持ち、おーい、と誘うように振って返事を待ってみたりした。
「ああ、別に良いけど?何処行きたいんだ?」
「笹川君と、雨宮君のところ」
「店じゃねえのかよ!」
 突っ込まれ、国原はひひひーと笑う。
 こんなに迅速に突っ込んでくれるのは、相方以外では彼しかいない。何だか、とても楽しい気がした。

「あ、弾米君。はい、どうぞ」

 彼にもあげようと釣ってきた、薄青色の水ヨーヨーを渡し、祭囃子が流れる中を歩き出す。出店からは客を呼び込む威勢の良い声。
「お祭りが終わったら学園祭だよね……結構忙しいかな?」
「かもなー。国原は何かやるんだっけ?」
「うん。知り合いに誘われてさ……ハロウィン喫茶っていうのを、やるんだ」
「へー。準備とか大変?」
「雰囲気は崩せないから、そこはね。弾米君は?」
 何て事のない会話をしながら、祭りの空気を吸い込んで、二人で水ヨーヨーを弾ませる。笹川君と雨宮君を探し、二人にくっついているだろう谷も探しながら。
 涼しい風と賑やかな熱気に触れて進んでいくのが、何だか夢でも見ているようで、国原は、とても楽しかった。
 
top